稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第171回 「楠 康一の浅ダナウドンセット釣り/Summer Ver.」

オールシーズン釣り方を問わず、その効果も群を抜く現代最強バラケの異名をもつ『粒もじ』。その使い手の中でもひと際ズバ抜けた釣果を叩きだし、マルキユーM-1CUPをはじめ数々の名だたるメジャータイトルを制覇し続けるマルキユーフィールドテスター楠 康一が、『粒もじ』の真のポテンシャルを披露すべく再登場!フィールドは最強バラケの対戦相手としてこれ以上ない、これもまた超大型の最強べらが待ち構える椎の木湖。同湖のへら鮒の攻略の難易度もまた最強クラスであることは、へらフィッシャーマンであれば誰もが知るところだが、果たして楠は『粒もじ』をどのように扱い気難しい椎の木湖の大型べらの気を惹いたのであろうか? そして同じバラケでありながら、なぜ楠の『粒もじ』は釣れるのか?その謎を解き明かす注目の釣技最前線をお届けする!

浅ダナ両ダンゴを凌駕するテンポの速さとアタリの早さ
例会組も多い日曜日の椎の木湖。ほかの来場者の入場と共に桟橋に降り立った楠は、撮影のしやすさとこの釣りの良いところが引きだせるであろう条件が整った2号桟橋へと向かう。しかし、当初狙っていた渡り桟橋奥は既に多くの例会組や一般来場者で一杯になっていたため、渡り桟橋よりも手前のマス227番座席に釣り座を確保した。
「言葉では上手く表現できないので、ウキの動きを見て『決まればこんなに凄い釣りができるんだ!』というところをみせられれば良いのですが……」
と、自信の裏返しなのだろうか、努めて謙虚なもの言いの楠。しかし結果を先に述べてしまうと、彼のこの思いは100%果たすことができなかった。相手が生き物である以上、思いどおりにならないことは重々承知ではあるが、食い渋りという悪条件下にあってもなお「この動き!」というシーンが撮れたことは多くの読者諸兄の参考になることは間違いないだろう。
この日の椎の木湖のへら鮒は想定よりもかなり早くからウキを動かし始めた。エサ打ち数投でウキに気配が現れると、その直後に難なくファーストヒットを決めた楠は、その後もコンスタントにヒットを重ね、短時間に数枚を追釣。アタリそのものは一般的な普通のセット釣りのような感じであったために、釣れるには釣れていたが楠に納得の表情はみられない。そうこうするうちに開始からわずか1時間で極度の時合落ちタイムに突入。アタリの少なさの原因が寄り不足にあると読んだ楠は、大きなバラケが打ち込めるようウキを浮力の大きな「ブラックP-57」に交換して集魚に努め、ある程度寄りが確保されてからは本来のアタリをだすべく「ブルーP-55」に再交換。さらに食いアタリを増やすべく下バリを「タクマ」3号に交換。そして満を持して竿を8尺から9尺に変更。すると、ようやくウキの動きに躍動感がみなぎり始めた。

「まさかこの時期に冬期の標準バリを使うことになるなんて考えもしませんでした。しかし持っていて良かった。これでどうやら目指す理想のアタリをみせられそうです(汗)」
想定外のへら鮒のコンディション不良に遭遇することは決して珍しいことではない。そうしたときでも焦らず手慣れたルーティーンで事態打開を試みる楠。すると徐々に理想とするウキの動きに近づいてきた。それはさながら浅ダナ両ダンゴと見紛うばかりの速い釣り。1投に要する時間はアタリがでるまでものの数十秒。ウキが立ち上がると同時に軽いウケが現れると、サワりながらナジミきる間もなく水中に消えてなくなる鋭い食いアタリ。この日のヒットのおよそ3割をこのヒットパターンで決めてみせた楠。果たして食いが良ければどれほどの釣果になっていたのだろうか。そう思えば思うほど、この釣りの持つ計り知れないポテンシャルに興味が尽きない。
取材時使用タックル
●サオ
シマノ「飛天弓 皆空」8尺→9尺
●ミチイト
東レ「将鱗へら TYPE-Ⅱ 道糸」1.0号
●ハリス
上=東レ「将鱗へら TYPE-Ⅱ へらハリス」0.6号-8cm、下=東レ「将鱗へらハリス スーパープロプラス」0.5号-40cm
●ハリ
上=オーナーばり「バラサ」6号、下=オーナーばり「リグル」3号→「タクマ」3号
●ウキ
SATTOブルーP-50(当日の決まりウキ)【B羽根二枚合わせ5.0cm/細パイプトップ/エサ落ち目盛りはくわせエサを付けて7目盛り中3~4目盛り出し】

この日は楠自身の基準となる「ブルーP-50」からスタートしたが、途中でへら鮒の寄り不足から大きなバラケを打ち込もうとして一時「ブラックP-57」に交換。寄りを確保した後に当日の食いの渋さに適合させるために前述「ブルーP-50」に再交換。以降は小さめのバラケをハイテンポで打ち返すことで寄りをキープし続けた。
取材時使用エサ
⚫︎バラケエサ(定番ブレンドパターン)
「粒戦」100cc+「もじり」100cc+「BBフラッシュ」100cc+水100cc


3種をエサボウルに取ったら軽く混ぜ合わせ、水を注いだら全体に水がゆきわたるようにかき混ぜて5~10分放置。吸水が完了したら軽くほぐしておく。状況が分からないときはこれを基エサとし、小分けしたものに押し練りを加えながら使用するが、今回を含めて盛期の場合はダンゴタッチのバラケがメインとなるため、ある程度状況をつかんだ時点でこの基エサをあらかじめ40回ほど練ったものでスタートするのが楠流。練ることでまとまり感は増すが、「粒戦」がブレンドの3割強を占めるこのバラケは、固まった基エサを水中で容易にほぐすことができるのが特徴で、タッチこそダンゴっぽいが機能はバラケのそれを失うことがない。ちなみに吸水直後のバラケは白い麩材のなかにたくさんの茶色い粒が際立ち、見た目はさながら挽肉入りコロッケの中身のように見えるが、練ったあとのバラケは麩の白い部分が消え、茶色の粒が目立たなくなり全体が均一に茶色くなっていることがわかる。


⚫︎くわせエサ
「感嘆(「さなぎ粉」入り)」10cc+水(水道水)9cc(プリッとした硬めの仕上がり)

「感嘆」1袋に対し「さなぎ粉」20ccを混ぜたものをあらかじめ用意。100ccカップに水(水道水)9ccと「感嘆」10ccを加えたら均一に混ざるように丁寧にヘラで練り込み、ムラなく塊になったらポンプに詰めて使用。
