稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第169回 「岡田 清の浅ダナヒゲトロセット釣り」|へら鮒天国

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稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第169回 「岡田 清の浅ダナヒゲトロセット釣り」

岡田流 浅ダナヒゲトロセット釣りのキモ その一:基本はあくまでセット釣り。上バリ(バラケ)の良否が勝負を分ける!

ヒゲトロセット釣りではバラケを食われることが多く、むしろ積極的に食わせる方向でアプローチしているアングラーも少なくない。この点に関して岡田の考えをまとめると、ヒゲトロセット釣りは、適度にへら鮒との間合い(距離感)をとるウドン系固形物を用いたセット釣りとは異なり、生理的にダンゴ(バラケ)を食いたがって上バリに近づいてくるへら鮒を接近戦で仕留めることを目的としているため、バラケ(上バリ)にヒットする確率が高くなるのは当たり前。しかし無理に上バリを食わせようとしてダンゴタッチにするとカラツンが増えたりウキのナジミ具合が悪くなったりして、かえって釣りが難しくなることがあることも理解しておく必要があると、この釣りならではの落とし穴があることに警鐘を鳴らす。

「今日の筑波流源湖の状態では、普段自分が使い慣れているバラケではどうしてもへら鮒の動きを抑えきれず、ほぼ両ダンゴのようなまとまるダンゴチックなバラケにすることで釣況が好転しました。ただし、いつでもどこでも使えるバラケかといえば決してそのようなことはなく、やはり状況に応じて適切にブレンドを合わせることが大切です。いかにバラケを食われることが多いとはいえ、ヒゲトロセット釣りはセット釣りですので、基本はあくまで上バリ主導でへら鮒を引き寄せ、さらにくわせエサへと導くことが肝心。強いアタリが連発し、上バリを高確率で食われることはそれだけバラケの仕上がりが良く、狙いどおりの接近戦ができている証と考えるべきでしょう」

今回の実釣でベストブレンドとなったバラケの主役は紛れもなく「カクシン」なのだが、脇を固める麩材各種が実に見事なサポート役を果たしている。「カルネバ」は落下途中の開きを抑え、「浅ダナ一本」は素材自体の軽さも含めてエアーを噛みやすいタッチを生みだし、そして「ほどき」がもたらす芯の膨らみによって、ともすればダンゴチックになりがちなブレンドにあって、バラケとしての機能を確実に保持する決め手となっている。

岡田流 浅ダナヒゲトロセット釣りのキモ その二:動かない(騒がない)ときは動かし、動く(騒ぐ)ときは動かさない!?

ウキが動かない要因はいくつか考えられるが、ヒゲトロセット釣りが効く時季においてはおもにへら鮒の寄り不足や極度の食い渋りが考えられ、逆にウキが動き過ぎる要因は、その大半がへら鮒の寄り過ぎによるウワズリだと考えられる。

「トーナメントの予選におけるハイプレッシャー下での釣りや日曜日の混雑した状況下での釣りが多い私の場合、常に動かないウキをどう動かすのかを考えることが多く、従ってバラケは開きが良い高集魚タイプのブレンドを用いるケースがほとんどです。しかし今日のように予想以上の激しい動きをみせるときや、わずか数名で釣果を競うトーナメントの決勝などでは、動く(騒ぐ)へら鮒をいかに抑え、コントロールしきれるかがキモになるので、勝負に勝つためにはそのいずれにも対処できるテクニックを身につけておかなければなりません」

取材時の釣りを参考にすると、ウキが激しく動く(へら鮒が騒ぐ)ときはバラケをよりダンゴチックにまとまり感を増したタッチとし、落下中の開きを抑える方向へと舵をきるのが基本とのこと。ただしバラケとして機能させるためには単に持たせるだけでは不十分。タナに入るか否かのタイミングでバラケを口にするか、またはそれに誘引されながら至近に位置するとろろを口にするか、いずれかのアプローチが成立するような適度な”膨らみ”が必要不可欠となる。その際無理にバラケを抑えなくともタナまで自然に届くよう、タックル調整によるトータルバランスの構築も重要なテクニックといえよう。一方でウキが動かない場合はバラケ性を高めるためにボソ感を増し、へら鮒を寄せるために集魚性をアップさせることを最優先に考える。岡田はこのケースでは自身最強の集魚力を持つと確信している「バラケマッハ」を主体とする、先に紹介したブレンドに替えるという。

岡田流 浅ダナヒゲトロセット釣りのキモ その三:ウキで変わるバラケのキープ力と食いアタリ(ヒットパターン)

この釣りにおいては、バラケは狙ったタナまで持つことが絶対条件。持っていなければ100%アタリはでないと言いきれるくらい、この釣りではバラケを持たせることが何より重要だ。だからといって石のように固まったままのバラケでは高釣果は期待できない。この釣りでバラケに求められる性能は、へら鮒が興味を示し、それを口にする直前まで接近するバラケ性を保ちつつ、適度な硬さやネバリによってウキがナジミきるまでは決して上バリから抜け落ちないこと。当然ながらへら鮒のコンディションによっては、今回のように最適とされるバラケのブレンドもタッチも変わってくる。いつも同じバラケが通用すれば良いが、そう簡単には釣れないのが現代へら鮒釣りの難しいところ。状況によっては同じブレンドでもタッチやエサ付けを変え、水中でのバラケ方やナジミ方に変化を加えないとアタリがでないこともあり、その際同じウキですべての状況に対応しようとすると、その難易度は計り知れないほど高くなると岡田は言う。

「この問題はウキを替えることで解決します。普段の浅ダナヒゲトロセット釣りではボディ6cm程度の中細パイプトップウキを使いますが、よりバラケをしっかり持たせたいときはトップが沈没しないようサイズアップして浮力(オモリ負荷量)を増すか、同程度の浮力の方が良いときは同じボディで太めのパイプトップウキに交換します。またこの釣りではあまりエサを動かさない方が良いというセオリーが浸透しているためか、パイプトップウキを使うアングラーが多数派ですが、ウキがナジミきってエサの動きが止まったときよりもエサが動いているときの方がアタリがでやすいこともあるので、そうしたケースではPCムクやグラスムクトップウキに替え、エサを動かしながらもウキをナジミやすくして積極的にナジミ際の早いアタリを狙います。」

この日手探りで実釣をスタートさせた岡田はあらかじめ様々なケースを想定し、いつでもウキを替えられるようにタイプの異なる浅ダナ用ウキを、傍らに置いた水を張ったボウルに浮かべて実釣を始めていた。ウキを水に浸しておくのは交換した際に直ぐ実戦態勢に入れるためであり、途中でエサ落ち目盛りが狂う(水に馴染むことで変化する)ことも防いでくれる、まさに競技の釣りに身を置く岡田らしい対策だ。ちなみにこの日もへら鮒の動きに合わせて三度ウキを交換した岡田。それだけ一筋縄ではいかない難時合であった証であるが、そんな苦労を忘れさせてくれるほど最後は見事な釣り込みをみせてくれた。

記者の目【バラケの機能性が勝負を決するヒゲトロセット釣り 見た目やタッチに惑わされるな!】

何となくバラケが付いていれば釣れそうなヒゲトロセット釣り(注:記者個人の感想)だが、今回岡田の釣りを目の当たりにすると、いかにそれが誤った認識であったかがハッキリと分かった。特にバラケのアジャストに関しては、岡田自身めったに遭遇しないというほど活性の高いへら鮒を相手にしていたにも関わらず、最後はビシッと合わせてその精度の高さを見せつけてくれた。釣況が最高潮に達した際にバラケを見て触って、さらに水中に投下してその機能性を確かめてみたが、見た目とタッチ(指先の感触)はまさに両ダンゴのそれであり、とてもセット釣りのバラケには思えなかった。しかし実際に釣れ続いているときのウキの動きは両ダンゴの釣りを凌駕するほどメリハリがあり、その食いアタリも大半が強烈な消し込みアタリで、途中ブレンドは異なるが無理矢理ダンゴチックなタッチに調整してバラケを食わせようとしていたときよりも明らかにくわせエサのヒット率が高く、これこそが岡田が理想とし、目指す“接近戦”だと理解できた。このことからも釣れる(勝負できる)バラケは、見た目やタッチではなく、いかに機能しているかということが自ずとウキの動きが示してくれることで分かる。バラケの良否で大きな差が生まれる単純そうで奥深いヒゲトロセット釣り。またひとつ掘り下げてみたいテーマが加わってしまった……。