稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第166回 「萩野孝之の沖宙ウドンセット釣り」|へら鮒天国

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稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第166回 「萩野孝之の沖宙ウドンセット釣り」

数年に一度ともいわれる最強・最長寒波に見舞われた日本列島。その影響は日々の生活を含めて多岐に渡り、へら鮒釣りも例年にない厳しい釣りを強いられている。しかし、そうしたなかでも既に勝負の釣りは始まっており、多くの例会やメジャートーナメントの予選に向けての釣りにいそしむへらアングラーの脳裏には〝必釣〟〝必勝〟の二文字が離れないに違いない。そこで今回の釣技最前線では、厳寒期から早春にかけて勝てる(釣れる)釣り方について、マルキユーインストラクター萩野孝之に実践レクチャーをオファー。舞台はメジャー大会のなかで最も早期に開催されるマルキユーM-1CUP予選開場のひとつ、清遊湖。この時季に開催される例会や大会に必ずや役に立つ技や思考に加え、勝つために必要不可欠な萩野の金言が散りばめられた実践レクチャーを見逃すな!

勝敗のボーダーラインは数枚!? そんな厳しい環境下での選択肢は限られる

「おそらくマルキユーM-1CUPの清遊湖予選が、時季的にみても一番厳しい釣りになるはずです。ポイントによっては例年通過ボーダーラインが3~4枚というブロックがあることを考えると、当然ながら釣り方は限られます。もし自分が参加すると仮定した場合、選択肢は中尺竿でのチョーチンウドンセット釣り、段差の底釣り、長竿での沖宙ウドンセット釣りの3つに絞られますが、釣り場がほぼ満タンになるほどの参加者によるプレッシャーを考慮すると、私のなかでは沖宙狙いのウドンセット釣りが最有力候補です」

清遊湖の自由釣りエリア。通称「奥マス」と呼ばれる西桟橋のなかほどに釣り座を構え、対岸となる東桟橋との距離を加味して16.5尺竿を継ぐと、宣言どおりに沖宙ウドンセット釣りの支度を始めた萩野。ウキのオモリバランス調整を大まかに済ませると、段差の底釣りでもないのにウキにフロートを装着してタナ取りゴムを下バリに刺し、いきなりタナ取りを始めた。これはどうしたことなのか?

「放流から時間が経ち、完全に水に慣れて落ち着く居場所を定めた新べらを含め、既存の旧べらのなかでも比較的コンディションの良いへら鮒が潜む、いわゆるセーフティーゾーンが沖めの、それも底に近くの深場であると推測し、自分が攻めているタナが底からどのくらいの位置なのかを正確に把握しておくためです。かつては浅めのタナから始め、アタリが少ないからと徐々にタナを深くしていく釣り方が多くみられましたが、最初から口を使う可能性の高いへら鮒が居着くところを攻めた方が効率的ではありませんか?少なくとも私はそう考えていますし、ましてや勝負がかかるトーナメントではいち早く釣れた方が大きなアドバンテージになるはずですから」

午前8時前、萩野はナジミきった下バリが底から約50cm離れた位置になるようタナを調整し、バラケを親指の頭大に甘めにつけた第1投を軽やかなロッドワークで落とし込む。この1投目はウキがまったくナジまず、続けて打ち込んだ2投目はややウキの立ち上がりが早くなったもののやはりナジミ幅はゼロ。3投目になって初めてエサ落ち目盛りから1目盛りナジんだが、すぐにトップが戻し、やや遅れて下バリ(くわせエサ付き)の重さがジワリとトップに現われるという動きがみられた。その後もトップがナジんだりナジまなかったりと不安定な状態が続いたが、萩野はまったく意に介さぬ素振りで淡々とエサ打ちを繰り返す。

「深めのタナを攻めていますので、決して水面直下でバラケが抜けているわけではありません。イメージとしてはオモリが沈みきってから上バリがナジミきるまでに抜けるようにエサ付け時の圧に注意しています。今はへら鮒を寄せながらどういったバラケの持たせ方(抜き方)をすれば反応するのか、そして食いアタリにつながるのかを見極めている段階ですので、バラケは比較的大きめでエアーを含んだ甘めのエサ付けとし、1投ごとに圧加減に変化を加えている状態です」

開始から15分ほどで初めてウキの動きに変化が現われた。その数投前から下バリ(くわせエサ)がナジミきるタイミングが遅くなったなと感じながら見ていると、ジワリと半目盛りシモリが入った直後に小さなアタリ。この動きを皮切りに、その後の10投で4回アタリがでたが、いずれも空振りに終わった萩野。それでも委細構わずエサ打ちを続けること20分。下バリ(くわせエサ)がナジミきった直後にでた「黒帯ムズッ」の極小アタリを捉えてファーストヒットを決めると、次投の小さなアタリでもヒットを決めていきなり2連チャン。

「ただでさえアタリが少ない時季の釣りなのでヒットする/しないはひとまず置いといて、まずは毎投ウキを動かしてアタリで終わらせることを目指すことが肝心です。どんなアタリであってもアワせて終わると、周囲のアングラーは自らのウキが動かないことと比較して焦りが生じるもの。これは精神的にも大きなアドバンテージであり、逆にいえば隣がアワせていても釣れていなければ決して焦らないことが肝心です」

競技の釣りをするうえで必要不可欠なメンタル面における駆け引きについてのアドバイスを口にしながらも、この時季にしては極めてレスポンスの良い清遊湖のへら鮒に自らも応えるべく全力でアプローチ。すると開始から1時間ほど経過したところで狙いどおりに毎投ウキが動くようになり、これに比例するようにアタリも増加。やがて時間当たり7~8枚という、この時季としては驚くべきハイペースの釣りへと突入。記者もこの釣れる秘訣を逃すまいと、彼の一挙手一投足に全集中し取材に臨んだ。

取材時使用タックル

●サオ
シマノ「飛天弓 閃光LⅡ」16.5尺

●ミチイト
オーナーばり「白の道糸」0.8号

●ハリス
オーナーばり「ザイトSABAKIへらハリス」上=0.5号-8cm、下=0.4号-70cm

●ハリ
上=オーナーばり「バラサ」6号
下=オーナーばり「クワセ」3号

●ウキ
一志「DゾーンPC」6番【PCトップ仕様/二枚合わせ羽根ボディ8.0cm/オモリ負荷量≓1.2g/エサ落ち目盛り=全8目盛り中4目盛りだし】

取材時使用エサ

バラケエサ【当日の決まりブレンドパターン】

「粒戦」100cc+「瀑麩」50cc+「セットアップ」200cc+「BBフラッシュ」100cc+水150cc

五指を熊手状に開いてザックリとかき混ぜ、全体に水が回った程度で止めて吸水を待つ。当日は基エサに近いボソが強めのタッチに反応したので、軽微なウワズリを抑制する際に手水調整を行う程度に留め、おもにエサ付けサイズと圧加減でコントロール。

■くわせエサ

「感嘆」(「さなぎ粉」入り)10cc+水(水道水)12cc

「感嘆」は1袋に対して「さなぎ粉」25ccをあらかじめ加えてよく混ぜ合わせておいたものを使用。冬期は水量をやや多めとし、やわらかめに仕上げたものが良いとのこと。