稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第173回 「吉田康雄の沖狙いのペレ宙釣り」

吉田流 沖狙いのペレ宙釣りのキモ その一:大型べらにターゲットを絞り込んだ竿の長さ&タナ合わせ
昨年の夏、筑波流源湖において吉田に披露してもらったペレカッツケ釣りは、ターゲットすべてが大型べらという状況下での釣りであったが、今回は大中小と様々なサイズのへら鮒が混在する釣り場でのペレ宙釣りなので、まずは狙いの大型べらが潜むポイントを釣り座からの距離(竿の長さ)とレンジ(潜むタナ)を3Dイメージで的確に捉えることが肝心だ。
「稀に短竿ペレ宙で大型揃いの釣りが決まることもありますが、基本的には混雑時に長竿を用い、やや深めのタナを攻めることで決まることが多いのは確かです。実際にここ三和新池でも日曜日の混雑した状況下において、18尺という長竿で大型べらばかりがたくさん釣れたという情報があり、期待をして来たのですが、今日は空いていて近くに釣り人が居ないので、大型べらだけを選んで釣るのは難しいかもしれません。」
混雑のない状況下において、大型べらはそれほど沖に追いやられてはいないであろうという予想から、まずは15尺タナ一本半で始めたが釣れるのは中小べらばかり。その後桟橋直下に見え隠れするへら鮒のなかにかなりの大型べらが混在するのを見た吉田は、当初の狙いとは逆に沖めではなく13.5尺、さらに10.5尺と小刻みに竿を替えて至近に潜む大型べらに迫る。しかし大型べらは釣れず、満を持して18尺で沖め狙いに変更。こまめにタナを上下させながら探りを入れる。するとタナ二本強と記者が予想もしなかった深めのタナで黄色味がかった良型がポツリポツリと混じり始めたが、これがこの日の限界であった。

「目標は大型ラッシュの釣りでしたが、今日は中小べらの寄りがあまりにも激しく、釣り分けが上手くできませんでした。しかしこれらが分散する混雑時には必ず大型べらが釣れるチャンスがありますので、釣行した際には迷わずに長竿をだしてウキ下をこまめに上下させ、大型べらが潜むタナを探り当ててください。」
「混雑上等!長竿上等!」大型べら狙いのペレ宙釣りでは、これが必須の心構えのようだ。
吉田流 沖狙いのペレ宙釣りのキモ その二:ネバリor重さ、どちらが◎? 釣況を見極めたエサ合わせ
先に紹介した基本ブレンドは今シーズン吉田がペレ宙釣りで基準としているエサだが、この日の三和新池の状態ではやや力不足の感は否めず、無理に持たせようとして練りを加えていくと、あるレベルを超えたところで中小べらにも嫌われ、ウキの動きが激減。大型べらを釣るためにはなんとしても狙いのタナにエサを送り込まなければならないが、その手法として吉田が選んだのがネバリの代わりにエサの比重を増して重さで持たせること。するとエサの変更直後からウキの動きが安定し、ようやくヒットパターンが確立。さらに毎投深くナジんだところででるアタリに絞ってアワせると、それまで顔を見せなかった良型も少しずつ混じり始めた。
「表層に集まる中小べらの寄りが増えた時点で、いずれこのブレンドパターンになることは予想していました。もちろん基本ブレンドのまま決まることもありますが、重さを増したエサで同じように釣れるのであれば、こちらの方が中小べらのアタックを避けて(堪えて)大型べらが釣れる可能性が高まります。」


型による釣り分けはペレ宙釣りの大きなメリットといわれている。特に今回のように比重の大きなエサを用いて意図的にエサ玉を重く大きくすることで、上層に群がる中小べらの層を突破。狙いのタナまで深くナジんだところで機能させる(膨らませる)と徐々に大型べらが集まり始め、やがて上に追いやられた中小べらの層、下に大型べらが集中する層が構築される。今回は明確な層別は果たせなかったが、使い慣れたベースエサからスタートし、釣況を見極めたブレンド変更によりコンディションの良い良型を含め、素直なへら鮒の層を二本強のタナに構築できたことで大きく釣況を好転させた吉田の釣技は、まさに最前線のテクニックではないだろうか。
吉田流 沖狙いのペレ宙釣りのキモ その三:ウキを深く入れれば入れるほど、数も型もそろう完璧時合!
この日のピークは昼過ぎにやってきた。スタート直後にいきなり見舞われた約1時間に渡るノーピク状態に戸惑いながらも徐々に良くなるウキの動きに呼応するように、ベストの時合を目指して全力投球し続けた吉田。竿を3度交換し、エサもいじりまくった結果、ようやくたどり着いた長竿&練りを控えた重めのブレンドに活路を見いだすと、クライマックスはパターン化されたウキの動きで連チャンモードに突入。時折黄色味がかった良型べらも混じりはじめると、汗まみれになった熱男の笑顔が弾けた。
「この動きがだせればペレ宙釣りとしては完成です。ただ残念なことに空いていることで中小べらの寄りが抑えきれず、目標としていた大型べらはキャッチできませんでしたが、日曜日など混雑した状況下で竿が並ぶようなときこそ、この沖宙狙いのペレ宙釣りが炸裂するはずです。」

数を狙うだけの釣りであれば規定最短尺の8尺竿でのメーター両ダンゴ釣りに分があるかも知れないが、同時に型も狙うのであればペレ宙釣りは極めて有効な釣り方である。この日最終的には18尺竿のタナ二本(ウキ下約2m)で決まったわけだが、構築された完璧とも思える時合下でのウキの動きは実に分かりやすい。二本というタナにしては大きめのウキがすっくと立ち上がり、ストレスをまったく感じることなく適度なサワリを伴いながらナジミ始め、2度、3度と現れる“道中”のアタリを見送ると、ナジミきる直前にフワッと煽られた直後にズバッと入る。この力強いアタリがこの日のヒットパターンだ。
「当初は力づくで入れようとしていたウキが今は無理なく深くナジむようになり、自然とアタリが続くようになっています。これこそがこの釣りで目指すウキの動きです。」
狙いの大型べらには今一歩届かなかったがダブルヒットは数知れず。完璧に整えられた時合下での釣りは見るものを圧倒して止まなかった。

記者の目【型がダメでも数でイケるぞ!最前線ペレ宙釣りのフレキシビリティ】
ペレ宙釣りを知り尽くした吉田康雄の実釣取材。ややもすれば中小べら主体の釣りに流されてしまいそうな状況下において、決して諦めることなく全力で大型べらを求め続けた彼の釣技をもってしても、ついにかなわなかった今回の大型べら狙いのペレ宙釣り。本来は大型べらが高密度で居着くところをピンポイントで狙うのがペレ宙釣りのセオリーであり、それだけに釣り座(入釣場所)や混雑度といった複数の条件が揃わないと果たし難い高難度のテーマだ。しかし条件が揃ったタイミングでペレットベースのダンゴエサを用い、長竿・高浮力ウキ・やや深めのタナという基本セッティングを整えれば、必ずや至極の大型べらに出合えると吉田は断言する。一方で条件が整わず中小べら主体の釣りになったとしても、ペレット特有の時合構築力により崩れ難い安定した釣りが可能になることを証明してみせた吉田。希代のペレ宙フリークがこの結果に納得するはずもなく、条件が整ったタイミングで必ずやリベンジを果たすに違いない。