稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第167回 「石倉義久の浅ダナウドンセット釣り」|へら鮒天国

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稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第167回 「石倉義久の浅ダナウドンセット釣り」

2026年トーナメントがいよいよシーズンイン。そこで今回もまた競技の釣りを見据えた最新釣技をお届けする。アングラーはマルキユーフィールドテスター石倉義久。野釣りから始めたというへら鮒釣りだが、類い希なる才能を生かし、今では自他共に認めるトップアングラーの地位を確立した彼は、トーナメントのオフシーズンには〝伝家の宝刀〟ともいえる得意の浅ダナセット釣りを封印し、自身大好きだという段差の底釣りをメインとしたボトムメインの釣りで冬のへら鮒釣りを楽しみリフレッシュ。そんな石倉に今年のトーナメントが本格的に始まる前の2月下旬、彼自身がトーナメントに臨むことを想定したプラクティスを模した実釣取材をオファー。事前準備から始まり本番さながらのプラクティスのやり方等々、競技の釣りに対する向き合い方についてのリアル解説をお願いした。初登場であり難しいテーマでありながらも、普段どおり真摯に取材に応じてくれた石倉。競技の釣りに勤しむすべてのアングラーに贈る貴重な参考書となるに違いない!

試釣の目的は、さまざまな条件下で最もウキが動く釣り方、ヒットパターンを探ること!

今回の実釣フィールドは茨城県笠間市にある友部湯崎湖。直近ではマルキユーM-1CUP関東地区A予選の開催が予定されていたが、仮に石倉自身がその大会に参加するのであればどのようなプラクティスを経て臨むのか、リアルガチにやっていただこうというのが今回のテーマだ!

「直近の釣果情報ではやや食い渋っているようですが、大会に参加するとしたら本命は浅ダナウドンセット釣りだと考えています。その理由は、友部湯崎湖ではこの時季比較的浅いレンジに良型べらが居着いているうえに、今シーズン放流された新べらも数多く混じること。さらに浅ダナの釣りは手返しが速く、時合の変化に対しても柔軟に対応でき、決まれば一気に釣り込める爆発力も兼ね備えているからです。ただし、もし今日が本番であれば、抽選で当たった釣り座によっては段差の底釣りでも予選を通過できる可能性は否定できません。いずれにしてもまずは相手(会場となる釣り場の状態)を知ることが肝心で、試釣を行う目的はさまざまな条件下において最もウキが動く釣り方やヒットパターンを探ることです」

3号桟橋の事務所向き90番座席に釣り座を構えると、自身本命だという浅ダナウドンセット釣りの支度を始めた石倉。準備が整うとトーナメント本番にも似た緊張感をまといつつ、正確無比な石倉らしい緻密なエサ打ちが始まった。タナ規定の無い釣り場だが、スタート時のタナはウキ下90cmほどに設定。どうやら決まりそうなタナよりもやや深めから探り始めるのが石倉の流儀らしい。たとえカッツケ釣りであってもタナを作って(狙ったタナにへら鮒を適量寄せて)釣り込むスタイルを信条とする彼は、水面直下でバラケを抜ききってしまう、いわゆる〝ゼロナジミ〟の釣りはほぼやらないという。その理由はたとえわずかでもウキのトップにバラケの重さがかかってから抜くアプローチを基本とすることで、無用のウワズリを抑制すると同時に高密度のタナ形成、そして何より勝つために不可欠な安定した時合を構築するためだ。予想どおり容易にウキは動かなかったが、冷静に周囲の釣況を見ながらほかの場所も釣り方も同じように釣れていないことを確認すると、焦ることはないと判断したのか、特段速いテンポのエサ打ちに切替えることなく、ただし小刻みにトップのナジミ幅を変えながら静かにウキが動きだすのを待った。初めてのアタリは開始から45分後で、ファーストヒットはさらにそれから15分後。容易にアタリがでない状況に下ハリスを40cmから50cmへと伸ばして間もなく、浅ナジミから素早くバラケが抜けた直後のフワリとしたアオリに連動してでた、小さく押さえ込むようなアタリを捉えヒットを決めた。その後もコンスタントにアタリがでるようになるまで下バリや下ハリスの長さを変えたりはしたが、ある程度タックルが煮詰まってからは、おもにエサ付けによるバラケの持ち加減と抜き方の変化でへら鮒の興味を引きつけることに注力。その結果、徐々にアタリが増え、やがてベストの時合をつかんで大型美形の新べらを仕留めると、ここまでの準備やプロセスが正しかったことを改めて証明してみせた。

材時使用タックル

●サオ
シマノ「飛天弓 柳」8尺

●ミチイト
東レ「将鱗へらスーパープロプラス道糸」0.6号

●ハリス
東レ「将鱗へらスーパープロプラスハリス」上=0.5号-8cm、下=0.25号-40cm→50cm→45cm

●ハリ
上=オーナーばり「バラサ」6号
下=オーナーばり「リグル」2号→3号→2号に一旦戻して→「バラサ」1号

●ウキ
SATTO「ピーチブラック」No.4【ボディ4cm/オモリ負荷量≒0.45g/エサ落ち目盛りは7目盛り中3目盛りだし】

取材時使用エサ

■取材時のベストバラケブレンドパターン

「粒戦」50cc(山盛り気味)+「セットガン」100cc+水100cc(吸水のため7~8分放置した後)+「ふぶき」100cc+「軽麸」50cc

五指を水に浸して濡らした手を熊手状に開き、ザックリかき混ぜ、水分を均等にゆきわたらせたところで一旦手を止め適宜放置。麩材が吸水した頃を見計らって軽くかき混ぜ、ダマが残らないよう均一に仕上げる。使用時は小分けせずにそのまま基エサを摘まみ取ってエサ付けし、タッチをシットリさせたいときは基エサの一部に指先につけた水を数滴垂らす程度に止め、基エサ全体に手を加えることはしない。なお極めて狭いレンジ内におけるバラケとくわせエサのシンクロ精度を高めるため、「粒戦」の量にはひとかたならないこだわりを持つ石倉。仮に多過ぎるとシタズリを起こすことがあり、へら鮒の口がくわせエサから遠ざかってしまう恐れがあるという。また一方で少な過ぎた場合はウワズリのリスクが高まると同時に、最も多いとされる下ハリスの倒れ込み時のヒットチャンスをつかみきれなくなる。それだけ「粒戦」は効果が大きく、扱い方を誤るとかえって逆効果になる恐れのある〝劇薬〟なのだ。ちなみにこれは蛇足だが、流行の「粒もじ」は未だ一度も使ったことがないとは本人の弁。

■くわせエサ

「感嘆」(「さなぎ粉」「粘力」入り)10cc+水11cc

「感嘆」は1袋に対して「さなぎ粉」20cc+「粘力」付属スプーン1杯をあらかじめ加えてよく混ぜ合わせておいたものを使用。先に水をカップに注いでおき、後から「感嘆」を入れたらコシとネバリがでて全体的に滑らかになるまでヘラでしっかり練り込む。なおこのヘラは石倉専用に幅、長さを合わせて作られたこだわりのオーダーメイド品で、無理な力を加えなくても均一、かつ持ちの良いエサに仕上がる愛用品だという。