稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第164回 「早川稔紘の段差の底釣り」

へら鮒の動きが鈍れば鈍るほど輝きを放つ段差の底釣り(以下、段底)。決して派手さはないが1枚1枚コツコツとカウントを重ねる段底は、ウキの動きが少ない厳寒期のへら鮒釣りを楽しむためのいわば命綱。しかし一歩手立てを誤ると、その力を十分に発揮することは叶わない。そんな段底を徹頭徹尾、軸のブレないアプローチで牽引するのが、中京を代表するマルキユーフィールドテスター早川稔紘。その繊細かつクレバーな段底は、食い渋るへら鮒の口を難なく開かせるスゴ技だと評判だ。今回の実釣フィールドは岐阜県海津市にある朝日池。辺り一面霜で真っ白になるほどキリリと引き締まった空気のなか、孤高の塊抜きで地底へと導かれたへら鮒が1枚、また1枚と、早川の竿を絞り込み始めた。

ウワズリ厳禁!バラケが働く(機能する)ゾーンをオモリよりも下に集約せよ!
実釣が始まるとすぐに早川流段底の骨格が明らかとなった。手水によってややシットリ感を増したバラケを適量摘まみ取ると、コロコロと指先で転がされたエサ玉の表面は滑らかに整えられる。それを上バリに抱えさせると、ほとんどハリのチモトを押さえることなく開いたまま打ち込む。これではウキがナジまないのでは?と危惧する記者であったが、PCムクトップ仕様のウキは先端近くまで深くナジミきり、やや間をおいてからス~と返すとエサ落ち目盛りまで一気に戻された。これが早川流塊抜き段底の心臓部。いきなりの手の内公開だ!
「宙釣りではタナに届く前にバラケを抜く釣り方もアリですが、地底に着いたエサを食わせる段底では、たとえタイミングの速い遅いはあったとしても、一旦必ずバラケをタナまでぶら下げてから抜くことが基本だと考えています。つまりウキがナジミきった状態でのオモリの位置よりも下層でバラケを働かせる(機能させる)ことが重要であり、これこそがウワズリを抑えながら底にへら鮒を寄せるための基本テクニックなのです。そのうえで私が塊のままバラケを抜くのは、オモリよりも下(底からやや離れたところ)をバラケの粒子で無駄に汚したくないためで、そのためにはブレンドに使用する素材も重くて粒子が細かいものが適していると考えています」


丁寧で分かりやすい早川流抜き段底の解説が終わらないうちに、早くもトップにはモヤモヤした生命反応が現われた。程なくしてチラチラと水面に見え隠れしていたエサ落ち目盛りが「ムズッ」と押さえ込まれると、早川の愛竿が一閃。元気で美形なへら鮒が大きく竿を絞り込む。難なくファーストヒットを決めた早川はその後も毎投ウキを深くナジませながら、徐々に増えていくアタリを的確にキャッチしてカウントを伸ばしていく。無駄のない動きがパターン化された「ザ・段底」といえるような理想的な展開だ。
「とりあえず釣れてはいますが、明らかにウキは動き過ぎですね。意識して普段よりもエサ付けを丁寧にしてゆっくり打ち返していますが、時折ウワズリのような動きがみられ、釣りにくい状態です。もしかしたら一週間ほど前に放流された新べらが寄ってきたのかもしれません」
早川の予想は的中した。既に地底に落ち着いたものと思われていた新べらが大挙して、しかも地底ではなく底からやや離れた宙層に寄り始めたのである。何とかして寄って来た新べらを底へと落ち着かせようと試みる早川。ウワズリを抑えようとバラケを締めると上バリを食う新べらに手を焼きながらも、バラケのタッチをこまめに調整しながら終始一貫塊抜きを堅持。すると一時的に落ち着いた隙に1枚、また1枚と、一気に釣り込める安定時合いには至らないものの、重く細かくまとまり感のあるバラケを的確に上バリから抜きながら、次第に群がりハシャぐ新べらをコントロールし始めた。
取材時使用タックル
●サオ
竿春「あつ志 本造 竹冠」11尺
●ミチイト
オーナーばり「ザイトSABAKI 原着フロロ」0.6号
●ハリス
オーナーばり「ザイト SABAKIへらハリス」上=0.5号-13cm、下=0.3号-60cm
●ハリ
上=オーナーばり「バラサ」6号
下=オーナーばり「プロスト」2号→3号
●ウキ
忠相「ネクストゾーン」10番【PCムクトップ17.5cm/二枚合せ羽根ボディ10.5cm/極細カーボン足7.0cm/エサ落ち目盛りは空バリで11目盛り中7目盛りだし】

取材時使用エサ

■取材時のベストバラケブレンドパターン
「粒戦細粒」100cc+「瀑麩」100cc+「とろスイミー」25cc+水200cc(吸水のため5~6分放置)+「段底」200cc

五指を熊手状に開いて大きくかき混ぜながら水分を全体に均等に行き渡らせる。使用時は1/3ほど別ボウルに取り分け、少量の手水によりシットリタッチに調整したものを基本とする。

■くわせエサ
「感嘆」+「感嘆Ⅱ」15cc+水15cc


粉はあらかじめ「感嘆」と「感嘆Ⅱ」を1袋ずつ混ぜ合わせたもので、ブレンドすることによりお互いの良いところを引きだすといったシナジーを生みだすことが狙いだ。