稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第152回 「岡田 清のチョーチンウドンセット釣り」|へら鮒天国

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稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第152回 「岡田 清のチョーチンウドンセット釣り」

深いタナの釣りが主役となる厳寒期。現代の冬のセット釣りにおいては縦サソイを駆使し、食い渋ったへら鮒の摂餌を促しつつ食いアタリを引きだす釣り方がスタンダードになっているが、そんな厳寒期の釣りでも決して受け身にならず、自ら積極果敢に攻めて食わせるスタイルを頑なに貫くアングラーがいる。それが今回の主役、マルキユーインストラクター岡田 清そのひとだ。彼のフィッシングスタイルをご存知の読者諸兄も多いだろうが、ひとことで言い表せばパターン化された攻めの釣りを信条とするトップトーナメンター。そのポリシーは揺るぎなく、動きが止まり自らエサを追わなくなった冬のへら鮒に対しても同じこと。そんな彼が今回披露してくれるのは、バラケの必須アイテム「粒戦」を駆使し、落下途中のくわせエサとのシンクロを図ることで動くエサに興味を抱かせ、ウキのナジミ際に食わせるアグレッシブ釣法。システム的には盛期の釣りのような錯覚さえ覚えるアプローチだが、果たして「厳寒期にそんな釣り方が通用するの?」と懐疑的な印象を抱かれた方は必見!実釣フィールドは厳寒期には超弩級の難易度でアングラーを苦しめる難攻不落の椎の木湖。さあ、真冬こそやってみたくなる「2024~2025スペシャルチョーチンウドンセット釣りat椎の木湖」の開幕だ!

ゼロナジミの抜きセットは接近戦が効かない冬にこそ生きる離れ業(遠隔戦)!

もはや当たり前となった冬の抜きセット。食い渋り時の必釣法として定着して久しいが、ここ数年その難易度も青天井で爆上がり。単にバラケを抜いてアタリを待っていたのではサワリを見るのが関の山、到底食いアタリに結びつけることはできない。そのため背に腹は代えられないとばかりに縦サソイ(シャクリ)を繰り返す〝守り〟のアプローチをとらざるを得ないのが実状だろう。近年のこうした釣り難しい状況下にあって、今回岡田が披露してくれた釣技は従来釣法とは異なる縦サソイをまったく用いない異次元の〝攻め〟の釣りだ。

「知人がやっていたのを見て『ああ、これはかなわない!まるで勝負にならない!』と感じたのが、私自身始めるきっかけでした。下ハリスが50cm60cmは当たり前の厳寒期に15、16尺一杯のチョーチンウドンセット釣りで、20cm台の短バリスでブッチギリの釣果を叩きだすのですから、驚くなという方が無理でしょう。まだ私もパーフェクトにやれるわけではないのですが、決まったときの爆発力は誰よりも理解しているつもりですので、時期的にはやや早い(取材は12月初旬)のですが一応練習はしてきたつもりですので、今回は伸るか反るか、一か八かの覚悟で皆さんにご披露したいと思います(笑)。」

盛期においてはへら鮒が自ら積極的にエサ(バラケの芯)に近づくため、比較的短い下ハリスでの接近戦がセオリー。しかし容易にエサに近づかなくなる厳寒期に、バラケを上バリに残したまま下バリのくわせエサを口にさせようとすると、どうしても下ハリスを長くしなければバラケの芯に対して遠巻きを決め込むへら鮒の口に届かない状態が延々と続いてしまうことになる。また運良くアタリをだせたとしても、長ハリスがゆえのカラツンが多発してしまうという欠点を回避することはできない。こうした状況を打開すべく、比較的短めの下ハリスでもへら鮒の口にくわせエサが届くように工夫されたアプローチがいわゆるゼロナジミの抜きセットなのだが、近年厳寒期の釣りは浅ダナもチョーチンダナ(深いタナ)も、抜きセットでなければアタリは疎かサワリすらでにくい状況が続いている。理由は読者諸兄もご承知のとおり、へら鮒の大型化や放流量の減少により口数が減ったためで、一般的な抜きセットですら長めのハリスで縦サソイを繰り返さなければ釣れないのが実状だ。さらにここ数年エサ慣れした大型べらが増えたことで、苦労の末にだしたアタリですらカラツンに終始するなど、その難しさは年を追うごとに高まりを見せている。

「今回の釣りは一般的な抜きセットとは一線を画する速攻系のアプローチで、狙ったタナにバラケが入る前に上バリから抜き、その粒子が倒れ込む下バリのくわせエサとシンクロするタイミングで食わせるという、言わば〝離れ業〟のアプローチです。メリットとしては比較的短い下ハリスでもアタリがだせるので、糸ズレによるカラツンを抑制する効果がひとつ。さらにアングラーが自ら仕掛けて食わせられる点においては、食いつくまで縦サソイを繰り返すといった受け身になりがちな厳寒期の釣りにおいて、こちらから能動的に攻める釣りができることで〝釣った感〟が得られること。特に後者は他人から見ればただの自己満足かもしれませんが、1枚掛ける楽しさの度合いが大きいことが、私にとってある意味メリットかもしれません(笑)。」

午前7時半。三号桟橋の渡り奥、朝日を正面から受ける釣り座で静かに第1投を落とし込む岡田。スロースタートで知られる椎の木湖なので、アタリがでるまではまだ間があると悠長にウキの動きを見つめていたスタッフ一同。ところが開始早々ウキがナジむか否かの早いタイミングででるアタリで次々とヒットを重ねる岡田。いきなりこんな爆釣シーンをよもや見せつけられることになろうとは……。

取材時使用タックル

●サオ
シマノ「飛天弓 皆空」13尺→「飛天弓 閃光LⅡ」10.5尺

●ミチイト
オーナーザイト「ヘラ専用白の道糸」0.6号

●ハリス
オーナーザイト「SABAKIへらハリス」
上=0.5号-5cm、下=0.3号-35~45cm(スタート時は40cm)

●ハリ
上=オーナー「バラサ」7号、下=オーナー「バラサ」1号→「サスケ」4号

●ウキ
本多作チョーチン用グラスムクトップウキ(試案品)#7【グラスムクトップ/ボディ7.0cm/オモリ負荷量≒1.6g/エサ落ち目盛りはくわせエサを付けて全13目盛り中3目盛りだし/竿10.5尺に変更時には同タイプのボディ6.0cmの#6を使用】

取材時使用エサ

バラケエサType Ⅰ:スタート時の基本ブレンド(厳寒期の混雑時向き)

「粒戦」100cc+「ヤグラ」200cc+水100cc(ザックリ混ぜ合わせた後、吸水のため10分程度放置後)+「軽麸」50cc

五指を熊手状に開いてかき混ぜ、全体にまんべんなく「軽麩」を絡める。粗い麩材が多くバラケやすいので、使用する際はあらかじめ指先で軽く揉んでからエサ付けするのがポイント。エサ付けは基本的に小さめで、打ち始めの寄せを目的としたときで直径13mm前後、寄りが十分に保て食わせにかかるときはさらに1~2サイズ小さくしてウワズリや寄り過ぎを抑制する。

バラケエサType Ⅱ:当日のベストブレンド(へら鮒の寄りが多いとき)

「粒戦」100cc+「GD」50cc+水100cc(ザックリ混ぜ合わせた後、吸水のため10分程度放置後)+「ふぶき」100cc

五指を熊手状に開いて均一に混ぜ合わせ、「ふぶき」の微粒子麩材が吸水し、タッチが安定したら完成。比較的エサ付けしやすいタッチに仕上がるので、使用する際はエサ付け時の圧を調節しながら1投ずつ抜き加減をコントロールする。使い方は前述Type Ⅰ同様。

くわせエサ

「感嘆」(1袋に対し「軽さなぎ」20cc入り10cc+水12cc

100ccカップに水を取り、「感嘆」を加えたらアルミ棒を使ってよくかき混ぜる。全体が固まり均一に仕上がったらポンプに詰めて使用。ナジミ際のエサが落下していく最中に食わせる誤飲系の釣り方なので、小さめのくわせエサを基本とするが、へら鮒の活性が高くエサのシルエットを認識してアタックしてくるときは、ハリのサイズもアップしてやや大きめのエサ付けとする。