稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第139回 「萩野孝之の底舐めチョーチン両ダンゴ釣り」|へら鮒天国

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稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第139回 「萩野孝之の底舐めチョーチン両ダンゴ釣り」

今シーズンの両ダンゴの釣りもいよいよ終盤戦へと突入した10月下旬、スタッフ一行はマルキユーインストラクター萩野孝之を誘い埼玉県羽生市にある釣り処椎の木湖を訪れた。今回のテーマは、両ダンゴシーズンラストを飾るに相応しく、深場を狙った長竿チョーチン両ダンゴ釣り。それもこの時季ならではというべきか、まさにこの時季こそが〝旬〟の釣り方である、通称〝底舐めチョーチン両ダンゴ釣り〟をお届けする。この釣り方は萩野自身たいへん得意としており、熟練のへらアングラーの間では〝なんちゃって底釣り〟などと呼ばれていた曖昧模糊な釣り方をロジカルに紐解き、確実に釣れる釣り方として構築したまさに当事者であり、実釣フィールドとなった日本屈指の大型管理釣り場椎の木湖こそ、まさに底舐めの釣りの聖地なのである。既存のへら鮒の活性もまだ高く、加えて1週間ほど前に今期1回目の新べら放流も行われた椎の木湖。萩野は大いなる期待を抱きながら最深部を間近に控えた3号桟橋渡り奥へと歩を進めた。

エサを追わせて食わせる深宙釣りと、止めて食わせる底釣りのいいトコ取り!?

この日の風向きを考慮して3号桟橋中央やや奥寄り東向き540番座席に釣り座を構え、狙いどおりの釣りができるようにと新たな仕掛け作りに取りかかる萩野に、まずは底舐めチョーチン両ダンゴ釣りの特徴ならびにシステムについて訊いてみた。

「この釣り方には明らかに〝旬〟があり、時季を外すと思うように釣ることはできません。基本的には上層のへら鮒の動きが鈍くなり、代わってコンディションの良いへら鮒が徐々にタナを下げ、自然と深場に溜まるようになる晩秋から初冬にかけてがベストシーズンであり、釣り場や新べらの放流状況によっては12月上旬まで楽しめる釣り方なのです。」

確かに萩野が言うとおり、この時季のへら鮒は日に日に下がる水温とともに徐々にタナを下げ、夏場には魚影の薄かった底近くにも口を使うへら鮒が数多く居着くようになる。そうした生理的にも自然に深場に入って来るへら鮒をストレスフリーで釣り込もうというのがこの釣り方の真の狙いであり、エサがナジミきった時点で下バリが底に着くセッティングで臨むことから〝底舐め〟の名前が付いたものだと記者は聞き及んでいる。一説には底近くをチョーチン両ダンゴ釣りで狙っていたところ、あまり釣れないのでハリスを伸ばしてみたら突然アタリがではじめて入れ食いになり、後にタナを測ってみたら下バリが底に着いていたということをきっかけに研究が始まったともいわれている。

「ひとことでいえば〝底舐め〟はエサを追わせて食わせる深宙釣りと、止めて食わせる底釣りのいいトコ取りの釣り方です。ノーマルなチョーチン両ダンゴ釣りのアプローチはタナ付近に寄ったへら鮒に落下途中のエサへ興味を抱かせ、ウキがナジミきるまで(2つのエサ玉がぶら下がり止まるまで)に食わせるというワンチャンスの釣りですが、一方〝底舐め〟の釣りは、底をやや離れた宙層のへら鮒はノーマル同様落下途中のダンゴエサを追わせながら食わせ、さらにそこで食わせ損なったとしても底に居着いているへら鮒と、繰り返しエサを打ち込み続けることでやがて底に付く宙層のへら鮒も含めて着底したエサで釣ることができる、いわばヒットチャンスが2回ある二段構え、二枚腰の釣り方であることをイメージしていただくと理解しやすいと思います。今シーズンはまだ本格的に釣り込んでいないので、今日の釣りがどのような展開になるのか予想しにくいところですが、スタートラインは常に一緒ですので、まずは基本となるハリスセッティングでベストのタナ設定となる長さの仕掛け作りから始めます。」

そう言って18尺竿を継いで18尺竿を継いで長めに作った新たな仕掛けをセットすると、下バリにタナ取りゴムを付けて底を取る作業を手際よく行い、下ハリス70cmのセッティングでは仕掛けがやや長いことを確認した萩野。わずかにミチイトを詰めて微調整が完了。いよいよ「釣技最前線」初の底舐めチョーチン両ダンゴ釣りの実釣スタートだ。

使用タックル

●サオ
シマノ「飛天弓 閃光LⅡ」18尺

●ミチイト
オーナーばり「白の道糸」1.0号

●ハリス
オーナーばり「ザイトSABAKIへらハリス」0.6号 上=55cm、下=70cm

●ハリ
上下=オーナーばり「バラサ」7号

●ウキ
一志「PCロングプレミアム」12番
【1.2mm径テーパーPCムクトップ26cm/7.0mm径二枚合わせ羽根ボディ12cm/1.1mm径カーボン足8cm/オモリ負荷量≓3.0g】※エサ落ち目盛り=全13目盛り9目盛りだし

取材時決まりエサブレンドパターン

「カクシン」500cc+「コウテン」200cc+「GD」50cc軽く混ぜ合わせてから+水200cc

五指を熊手状に開いてザッとかき混ぜ、全体に水をゆきわたらせたら放置して吸水を待つ。

この日、萩野は上記ブレンドパターンから「GD」を抜いたエサでスタートしたが、思いのほか上層のへら鮒の動きが激しく意図するウキの動きがだせなかったため、2ボウル目に入る前の残りエサに「GD」をパラパラと少量加えて落下途中の開きを抑制。するとへら鮒の動きが落ち着くとともにタナでタイミングよく膨らむ効果も徐々に効き始め、狙いどおりの二段構えのアタリで釣れ始まったことを確認。この結果を踏まえ、上記ブレンドに変更するというきめ細やかなプロセスを踏んで、当日の決まりエサを探り当ててみせた。さらに今回のエサ作り動画では実践タイプのエサ作り方法として、残りエサが少なくなったところで水200ccを加えて一旦使用しているエサを戻し、そこへ各種麩材を加えてかき混ぜて仕上げるという手法を紹介している。

これにより使いきってから新たに作るエサよりも釣れているエサに近いタッチに仕上げられるようになり、さらにできあがり直後のダンゴエサにみられがちな芯の弱さをカバーすることも可能。まさに一石二鳥のエサ作り方法となっている。