稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第107回 稲村順一の春の両ダンゴの底釣り|へら鮒天国

管理釣り場・野釣り場の、最新釣果情報が満載!「へら鮒天国」

稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第107回 稲村順一の春の両ダンゴの底釣り

通称〝3底〟とも〝底釣り三種の神器〟などともいわれ、長きに渡り不動のクリーンナップとして君臨してきたマルキユー底釣りエサ「ダンゴの底釣り夏」「ダンゴの底釣り冬」「ペレ底」に、新たな仲間がお目見えした。その名も「ダンゴの底釣り 芯華」。なんとも釣れそうな華のあるネーミングじゃないか。今回は不肖レポーターの稲村がお届けする新エサのファーストインプレッション。発売を目前に控えた2月下旬、へら鮒釣りファンの間では底釣りの聖地といわれる「前山の池」へとやってきた記者が体感したのは「華は名前ばかりじゃないぞ!」と、ようやく動き始めた早春のへら鮒が示した意外な反応。論より証拠の新エサのポテンシャルをとくとご覧あれ!

へら鮒の嗜好に合わせた選択肢が豊富なマルキユー底釣りエサラインナップ

底釣りはへら鮒釣りの基本とも原点ともいわれる釣り方であり、多くのへらアングラーに愛され親しまれている釣り方だ。もちろん記者のへら鮒釣りの原点も底釣りであり、遡ること30有余年、当時はいまほど魚影が濃いわけではなく、手返しの遅いビギナーでは宙釣りで一定のタナにへら鮒を足止めして釣り込むことなどできるはずもなかった。しかし底釣りであれば多少リズムが悪くてもタナさえ合わせられれば釣ることができたので、どこに行ってもグルテンを使っての底釣りばかりしていたことが脳裏に蘇る。当然ながらグルテンばかりでは釣果もたかが知れており、新べら放流直後や春先であればそれなりに釣れたのだが、へら鮒が活発に動くようになり底から離れ気味になるとまったく手も足も出なくなってしまったことは苦い思い出である。そうした時期がしばらく続いたが、1989年にマルキユーから「ダンゴの底釣り」(後に「夏」のネーミングが加わる)が登場するとビギナーの記者にもよく釣れるようになり、さらに「ダンゴの底釣り冬」が加わると1~2月の厳寒期の厳しい釣況のなかにあっても50枚や60枚はおろか、ときには束釣りに近い爆釣を経験することができたことをいまでも鮮明に覚えている。

あの頃を思い起こせば、マルキユーチーフインストラクターであった故藤田東水氏をはじめメーカースタッフらが「へらスイミー」や「ペレだんご」に「つなぎグルテン」をブレンドしたり、一旦仕上げたグルテンエサを水で戻したところに発売されたばかりの「ダンゴの底釣り」を加え、さらに「新べらグルテン」をパラパラと降り掛けたナゾのブレンドエサで周囲を圧倒する釣りをみせていた。いま思えば新エサ開発のためのフィールドテストといったところだろうが、大御所らに声をかけることもままならないヒヨッコの記者などは傍から何も分からずに見ていただけであった。

閑話休題、改めて振り返ると当時「ダンゴの底釣り」シリーズは飛ぶ鳥を落とす勢いで釣り場を席巻しており、事実他社製品のユーザーでさえ「ダンゴの底釣り夏/冬」をバッグに忍ばせていたくらい圧倒的な釣果を誇っていたのである。もちろん記者もその恩恵にあずかったひとりであるが、その後入会した釣り会での好成績も「ダンゴの底釣り夏/冬」なくしては果たせなかったものと信じて止まない。そんな大勝ち状態にも関わらず研究開発の手を緩めないのがマルキユーの凄いところで、その後も速攻の底釣りに特化した「ダンゴの底釣り競技用夏/冬」、さらには「底力」、「真底」、「ペレ底」といった個性的な新エサが登場。さらに別ブランドとして「パウダーベイトボトム」といった時代のニーズに応えるべく生まれたエサにも大変お世話になった記者が、このたび光栄にも最新エサのレポートを仰せつかった。果たして新エサの実力やいかに。

使用タックル

●サオ
寿仙 高野竹10尺6寸→寿仙 高野竹12尺1寸

●ミチイト
ラインシステム クルージャンへらミチイト PET 0.7号

●ハリス
ラインシステム クルージャンへらハリス0.3号 上=35cm→40cm、下=43cm→48cm

●ハリ
上下=ラインシステム「サソリHARD」4号

●ウキ
❶クルージャンスタンダードタイプSTRIDE Ⅳ「漆黒」底釣り用TKO No.3
【中細パイプトップ11.0cm/羽根二枚合せボディ11.0cm/カーボン足6.0cm/オモリ負荷量≒1.7g/エサ落ち目盛り=7目盛り中5目盛り出し】
❷クルージャンスタンダードタイプSTRIDE Ⅳ「漆黒」底釣り用TKO No.4
【中細パイプトップ12.0cm/羽根二枚合せボディ12.0cm/カーボン足6.3cm/オモリ負荷量≒1.9g/エサ落ち目盛り=8目盛り中5目盛り出し】

●ウキゴム
ラインシステム カン付プラスチックヘッドウキゴム(SS)

●ウキ止め
ラインシステム ウキ止めゴム(0.6号用)

●オモリ

内径0.4mmウレタンチューブ装着+厚さ0.3mm板オモリ

●ジョイント

ラインシステム 片デカダブルサルカン

取材時使用エサブレンドパターン(推奨基本ブレンド)

ダンゴの底釣り 芯華」200cc+水100cc

全体に水が行き渡ったらボウルの底に広げて吸水を待つ。時間は時季や気温・水温によって異なるが今回は10分ほどで安定した。なお基本レシピの「ダンゴの底釣り 芯華」200cc:水100ccで作るときはグルテンボウルよりも大きなエサボウルがベター。半分の量であればグルテンボウルが扱いやすい。

稲村流両ダンゴの底釣りの基本と当日の釣りの流れ

春の底釣りにおけるエサ使いの選択肢
実を申せば今回の取材については新エサ「ダンゴの底釣り 芯華」ありきではなく、釣況に応じてベストのエサ使いでも構わないという寛大なオーダーであった。なぜならこの時季(取材は2月下旬)に両ダンゴというエサ使いで読者諸兄が納得できるウキの動きをだせる釣り場は稀少であり、実際釣れそうな釣り場のリサーチに難儀した。取材を数日後に控えたある日、信頼できる記者の釣友から「前山の池」でバラグルセットの底釣りでスタートし、最終的には両ダンゴでも釣れたという情報が得られたため、藁をもつかむ思いで取材を決行。結果的には同池のコンディションの良いへら鮒達に大いに助けられ、新エサのポテンシャルを十分に体感することができた。
しかし多くの釣り場では、早春の底釣りにおけるエサ使いはバラケにグルテンのセット釣りが基本となる。これで理想的なアタリで釣れ続けばエサ使いを変更する必要はないが、へら鮒の反応がいずれか一方に著しく偏ることで釣りにくくなる(釣れなくなる)場合には、両ダンゴもしくは両グルテンに切り替えて釣りやすさを追求するのがセオリー。その際の切り替えの判断基準は以下のとおりだ。

●両グルテンに切り替えた方が良いケース
カラツンが多くタナ調整のみで解消できないときや、へら鮒が寄り過ぎてウキがナジミにくかったり複雑なウキの動きが多いとき。また明らかに前年放流された新べらが下バリのグルテンエサにヒットしてくるとき。さらにどちらかといえば食いアタリが遅いとき。

●両ダンゴ切り替えた方が良いケース
明らかに上バリのバラケを食う確率が高い(概ね50%以上)とき。また平均して良型のへら鮒が釣れるとき。さらに多少カラツンは多いものの比較的落ち着いたウキの動きのなかで、ナジんだ直後やウキの戻し際といった早いタイミングでコンスタントに釣れるとき。

まずは「前山の池」のへら鮒のコンディションを図るべく、数日前に釣れたという10尺竿、タナ2m強でのバランスの底釣りの準備を整えながら、この日初めて触れる新エサを麩材200cc:水100ccの単品標準作りで仕上げる。10分後、吸水が完了したエサに触れてみると、記者の底釣りエサの感覚ではやや硬めの仕上がりだ。そこで新エサの特性を確認するため摘まみ取ったエサを丸くまとめて水を張ったボウルに沈めてみると、長時間原型をとどめ、意図的に起こした水流のなかでも型崩れせずかなり芯持ちの良いエサということが分かる。

実際、新エサのパッケージにはバラケ性=弱、重さ=重と表記されており、この特性どおりだとすればバラケ性を補うために手返し良くエサ打ちを繰り返さなければならないと勝手に思い込んでいたのも束の間、エサ打ち開始間もなくウキにへら鮒の寄りを示すシグナルが現われた。そこであえて従来どおりのテンポでエサ打ちを続けると、3目盛りナジんだトップが1目盛り返した直後の明確なツンアタリで早々にファーストヒットが決まる。

その後もサワリは途切れることなくスローペースながら順調にカウントを重ねていったのだが、この時点で両ダンゴでも十分イケると判断した記者はエサ使いを「ダンゴの底釣り 芯華」単品使い一本に絞り、いかなる使い方が可能なのか、また効果的な調整方法は何なのかを探るべくボウルのなかの基エサをいじくり始めた。その結果については後ほどまとめて紹介しよう。

スタート時のタックルセッティング、途中変更に関する裏付けとその理由
竿の長さについては前述のとおり直近の情報を元に10尺を選択。春先の巣離れ直後は浅場に続くカケアガリのあるポイント狙いがセオリーだが、ここ「前山の池」のように比較的水深が浅くフラットな地底が多い釣り場では新べらが沖めのセーフティーゾーンに、地べらはこぼれエサの多い岸寄りに居着く傾向がある。従って両グルテンであれば長竿で沖め狙いが良く、バラグルセットや両ダンゴであれば比較的短めの竿で十分な勝算があると見越しての選択であったが、途中明らかに沖めの方がウキの動きが良いことが分かった時点で12尺に変更。結果的にはこれが正解であった。

ウキについては水深としては明らかに大きめとなるボディ11cm(竿12尺時には12cm)のものを選んだが、これにはふたつの理由がある。ひとつは季節風がやや強く吹くという予報からの流れ抑制対策で、もうひとつは地底に枯れ葉などの堆積物が多いことからウキの戻りを確実にだすための浮力増強対策だ。

ハリスは魚影密度やへら鮒の活性、さらには釣れるへら鮒のサイズに合わせるのがセオリー。高密度・高活性時・へら鮒の平均サイズが8寸級であれば30~40cmを基本とし、低密度・低活性時・釣れるへら鮒の大半が尺超級であれば40~50cmが標準的なところであろう。従って当日は上35cm/下42cmでスタートし、ややへら鮒の反応が鈍くなった時点で上下共に5cmずつ伸ばしたのだが、実はこのハリスの長さ変更とその後に行ったエサのタッチ調整が大きなターニングポイントとなった。まずハリスを伸ばすことを決断した理由は、へら鮒が底にいなくなったからなのだが、記者の見立てでは単にいなくなった訳ではなく底を離れてしまったことが推察されたからであり、それはウキの動きからも明らかで、ナジミきる直前まで適度なサワリが現われているにも関わらず、ウキがナジミきってしまうと戻しも遅く、気配も薄れてしまっていたからだ。

これを単なるウワズリと判断してしまうと対策はまったく別のものになってしまうだろう。恐らく読者諸兄のなかにも「底からへら鮒が離れた=ウワズリじゃないか?」と思われる方が少なくないはずだ。しかし実際に釣り場で竿をだした者でなければ感じられない雰囲気というか、ウキの動きを見た者でなければ分からない感覚がある。実はこの日のへら鮒は朝から底には着いておらず、わずかに底から離れた位置でサスペンドしていた食い気のあるへら鮒が上から落下してくるエサを底まで追いかけて食ってきたような感じがしていたのだ。そのことが記者の脳裏にインプットされていたため、ウワズリではなくエサを追わなくなったものと判断。その結果導きだされた対策が、ハリスを伸ばすことにより落下時のナチュラル感を増すことと、エサのタッチをわずかに変えてアピール度を増すことへとつながったという訳だ。

タナ取りとタナ合わせ
底釣りの基本であり最も重要といわれるのがタナ取りとタナ合わせだ。タナ取りについてはアングラー個々の流儀に従えばそれでヨシ!記者流のタナ取りも恐らく多数派であろうが、使用するウキの浮力にやや勝る重さの小さなタナ取りゴムを両バリ共に刺して打ち込み、水面にトップ1目盛りがでるようにウキ下の長さを調節したらそこに目印のトンボを位置させ、予め両バリが底を離れた底チョイ切りのところで決めたエサ落ち目盛りをトンボに合せれば上バリトントンのタナ設定が完了する。確認作業としてタナ取りゴムを外した空バリ状態で再度ポイントに打ち込み、先に底チョイ切りで決めたエサ落ち目盛りよりも多くトップが水面上出ていれば問題なし。さらにエサを付けて打ち込み、2~3目盛りのナジミ幅がでていれば安心してスタートできる。

多くのアングラーはその経験から予め2~3cmタナをズラして始めるようだが、記者の場合は必ずこの上バリトントンのタナでスタートすることを心掛けている。その理由は地底のエサが不安定な状態の方がへら鮒の動きがウキに伝わりやすいことに加え、開始直後のタナの変化をいち早くキャッチできるからに他ならない。極論すればエサが底から離れた宙層にあるのが最も不安定な状態だが、底釣りである以上エサを底に着けた状態で最も不安定な状態といえば上バリトントンということになるだろう。この状態でエサの近くにへら鮒が寄ってくると、わずかな水流でエサが動きそれがウキに伝わるが、予めタナをズラシ気味にしてエサを安定させてしまうと、一定量のへら鮒が寄ってからでなければウキに気配が伝わりにくいと考えられる。ヒット率を上げるためにはその後のタナ調整によるズラシが必要不可欠だが、まだ探りの段階ではこの方がへら鮒のコンディションをつかみやすく、その後の組み立て方にも遅滞や回り道といったロスを回避できるものと考えている。

ちなみに取材時は堆積した枯れ葉が数度ハリ掛かりすることはあったものの地底が掘れることはなく、PET(エステル)ラインを用いたことによるタナボケ抑止効果(特性上ミチイトの伸縮はほとんどない)も相まって、スタート時のタナをほぼ変えることなく、またハリスの長さを変更したときを除きタナを計り直すこともなく釣りきることができたが、もちろんズラシ幅は状況に応じて調整することが必要だ。基本的にはウキが必要以上に動き過ぎるときや、釣れて当然の良いアタリがことごとくカラツンになるときはタナをズラすことでエサの動きを安定させる必要がある。一方ナジミ幅が小さくウキの戻しもハッキリでないときや、同じように良いアタリがスレになるとき、特に待ち気味のアタリで魚体の下側に掛るスレが多発するときは、タナがズレ過ぎているものと考えるべきだろう。なお、タナを調整する際は少しずつ行うのがセオリー。これはすべての底釣りに共通するものであるが、今回のように水深が浅く地底がフラットな釣り場の場合、エサの打ち込み点のわずかなズレでウキのナジミ幅が変わってしまうので、まずはこうした打ち分けによるヒット率の変化を確かめたうえで、浅くするときも深くするときも1cm単位で行うことを心がけている。

 

アタリの取り方
安定した底釣りを実現するためにはまずウキのナジミ幅を一定に保つことが肝心であるが、そのナジミ幅は水深・ハリスの長さ・エサ使い・タナ設定によって大きな違いが生じる。たとえば今回のような水深2m前後の比較的浅い底釣りで、ターゲットは中小型のへら鮒に適した短めのハリスでの両ダンゴ、タナは基本の上バリトントンとすると、2~3目盛りのナジミ幅がでればタナ設定としてはまずは及第点といえよう。そのうえで一旦ナジミきったウキが戻し始めてからのアタリを取るのが底釣りの基本であるが、へら鮒の食いが良いときはウキがナジミきった瞬間にアタリがでることも多く、昔の教科書どおりのアタリの取り方に固執していては近代両ダンゴの底釣りにはついて行けなくなる恐れがあろう。このときの水中イメージとしては、わずかに底から離れたへら鮒が上から落ちてくるエサ玉に反応し、目の前を通過する際に誘引されて底へと誘われ、上下いずれか片方のエサが着底したと同時に食うような感じではないかと考えられる。ちなみに取材時の状態はまだ両ダンゴを追い始めたばかりで、それほどレスポンスが良いわけではないのでこうしたアタリは少なく、基本どおりのナジんで戻してツンというアタリが大半を占めた。〝論より証拠〟ということで、実際の食いアタリは動画で確かめていただくこととしよう。

 

ファーストインプレッション(記者が感じた新エサの特性と効果的な使い方)

初めて触れた新エサ「ダンゴの底釣り 芯華」を1日使いきった感想をまとめると以下のとおりだ。

●エサ作りが超簡単!
エサ2:水1で基本のタッチに仕上がるので、アングラー個々のエサ打ちペースに合わせて作る分量が自在に変えられるのがメリット。特に1日の釣りの終盤、残り時間から使用量を逆算して作る量を調整できるので、無駄に多く作り過ぎてしまうとか、少量を上手く作れないといった悩みは解消されるだろう。また実釣時には多品種とのブレンドを試すことはなかったが、この仕上がりと使い勝手の良さを直に体感すると、早春や晩秋の両ダンゴの底釣りでは単品使いがベストだと思われる。もちろんブレンド相性が良い品種に関しては開発段階でのテストは行われているだろうが、むしろそうした秘めたポテンシャルは読者諸兄が引きだしてくれるに違いない。

●エサ持ち抜群!エサ付けも簡単!
エサ持ちが良いので仕上がったタッチのまま揉み込まずとも摘まんでハリに付けるだけでOK。今回は水深が浅めの底釣りであったが、水中テストの感じではその類い稀なる形状キープ力により、どんなに深いタナであってもエサ持ちにまったく問題なし。またエサ持ちが良いことはアタリの選別のしやすさにもつながり、早いアタリでヒットしなくなった場合でも安心して次のアタリ、また次のアタリと自信を持って待つことができよう。

●超強力集魚材による寄せ効果大!
実釣時にはへら鮒がしっかりとエサ打ちポイントに足止めされ、この時季としてはコンスタントにアタリが続いたことには正直驚かされた。これは従来の底釣り用ダンゴエサにはなかった集魚性の高い「エビ粉」&「集魚ペレット」の効果によるところが大きく、盛期においてはウワズリを気にすることなくナジミ際のアタリを積極的に取りにいく速攻の底釣りもイケるだろう。

●タッチの調整幅が広く自在性も秀逸!
きめ細やかなグルテン繊維が含まれるので、強い練り込みや数多くかき混ぜることをしなくても十分な形状キープ力を持っている。このため小分けした基エサに適量手水を染み込ませるだけで簡単に軟らかくすることが可能で、反対に硬くしたいときには基エサを足すか、麩材をそのまま加えて指先で押し込むだけでOK。ただし後者の場合バラケ性も増すので要注意!またタッチの調整幅が極めて広く、基エサに手水を多めに加えた極ヤワタッチ(当日前半に好反応)から、基エサを作る段階で水量を減らして仕上げた極硬タッチまで自在に調節が可能である。ちなみに取材の際は、軟らかめのエサに対して反応が良いことが分かった時点で基エサを作る際に麩材をやや減らして(概ね180cc)仕上げることでその後の調整の手間を省き、より基エサに近い自然な膨らみを生かしたエサ使いで好感触を得た。

「ダンゴの底釣り 芯華」はダンゴとグルテンのハイブリッド!?

初めてパッケージを開けた瞬間、目に飛び込んできたのはマッシュフレークの存在感。新エサを手にするのは今回が初めてなので、まずは裏書きどおりのレシピでエサを仕上げてみた。

200ccの計量カップで正確に麩材をすくい取り、100ccカップでやはり正確に水を計って麩材の入ったボウルに注ぎ込む。ザックリとかき混ぜ、およそ10分放置するだけで完成だ。仕上がったエサを手に取るとやはり大ぶりなマッシュフレークときめ細やかなグルテン繊維がリアルに感じられる。ふと記者の脳裏に浮かんだのは「果たして『ダンゴの底釣り 芯華』はダンゴエサなのだろうか?それともグルテンエサなのだろうか?」という疑問であった。そして実釣。その結果、記者なりの答えは単にダンゴとグルテンを混ぜ合わせた従来のグルテンダンゴではなく、長い年月を経て〝進化〟したよりダンゴ色の強いグルテンダンゴという結論に達した。少し詳しく述べると、従来のグルテンダンゴがグルテンのメリットを生かした守りの釣り・待つ釣りに適しているのに対し、「ダンゴの底釣り 芯華」はダンゴならではの攻めの釣り・仕掛ける釣りにウェイトを置いていると感じられたのだ。事実、食い気があるへら鮒が寄ったときにはダンゴらしいナジミ際からの明確なアタリでヒットを重ね、やや食いが落ちたときにはグルテンの特性を生かしてアタリを待つ釣りにシフトチェンジ。この切り替えがアングラーの思いのままにできるところはまさにハイブリッド感覚。新エサの真価はここにこそあるものと確信を得た訳だが、そのポテンシャルはこれだけに止まるまい。恐らくは開発者も思いつかないような新たな可能性を読者諸兄が引きだしてくれるに違いない。

〝春は底を釣れ〟という先達の金言があるが、いままさに旬を迎えた底釣りシーズン。野にも管理にも新エサ「ダンゴの底釣り 芯華」を携えて、思う存分春の底釣りを楽しんでみてはいかがだろうか。