稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第66回 戸張 誠のマッシュ系ダンゴの巨べら釣り|へら鮒天国

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稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第66回 戸張 誠のマッシュ系ダンゴの巨べら釣り

数釣りとは真逆に位置する巨べら釣り。ひとことに巨べら釣りと言っても、そのアプローチは様々だ。今回お届けするのは巨べら釣りの中でも最も釣り期が長く、比較的手軽に狙えるダム湖の宙釣りをお届けする。アングラーは野釣りを知り尽くした男、マルキユーインストラクター戸張 誠だ。野釣りの爆釣師として名をはせる戸張は、知る人ぞ知る巨べらフリーク。例年ハイシーズンにあってはプライベート釣行の大半を巨べら狙いに充てているほどで、今年も平場の産卵期の釣りがひと段落したところで主戦場を山上湖に移している。これからの時期の釣り方はマッシュ系ダンゴエサによる宙釣りがメインとなるが、今シーズンは新エサ『カルネバ』という新たな相棒と共に、さらにパワーアップしたエサ使いで巨べらを一網打尽にしてしまおうという算段だ。取材は5月末、朝から強い雨が降りしきるなか、千葉県にある笹川湖(片倉ダム)にて決行された。

『カルネバ』は巨べら狙いには欠かせないマッシュ系ダンゴエサを大きく変える可能性あり!

「今シーズンは『カルネバ』があるからマッシュ系ダンゴエサもひと味違った使い方ができるようになったんだ。昨シーズンまではエサを持たせるために軟らかく練り込んだエサ中心で攻めてきたが、今年は『カルネバ』のお陰で練り込まなくても使えるマッシュエサまで手の内に入れることができたのは大きな進歩だね。従来品には例を見ないほど軽くてエサ持ちが良い『カルネバ』は、すぐにはエサを口にしない巨べら独特の摂餌習性に間違いなく適しているし、実際に使った感触もとても良い。これなら巨べら釣りに慣れていないアングラーでも容易にマッシュ系ダンゴエサが使いこなせるんじゃないかな。」

麩系ダンゴエサでも釣れないことはないが、事実マッシュ系ダンゴエサは巨べら釣りにおいて極めて有効であり、数多くの実績も挙げている。元来微細な植物性プランクトンを主食とするへら鮒(成長過程の一時期に動物性プランクトンや赤虫等も捕食すると言われている)だが、大型のへら鮒ほどプランクトンに似た微細なものを好むと言われており、そうした観点からも極めて細かいマッシュの粒子は巨べらの好みに適しているのだろう。

もちろん戸張もこうしたマッシュ系ダンゴエサを愛用しているひとり。さらに今回は『カルネバ』をブレンドしたボソタッチのマッシュ系ダンゴエサで臨んでもらおうという趣向なのだが、合わせて自ら巨べら師らしくない釣り方と謙遜する極めてノーマルな野釣りのアプローチにも注目して欲しい。

ところで、なぜ『カルネバ』をマッシュ系ダンゴエサにブレンドして使おうとしたのか、まずはその理由について訊ねてみた。

「それは巨べら特有の釣り方に理由があるんだ。そもそもマッシュ系ダンゴエサで宙釣りをする場合、中小べらの数釣りのように小エサで落ち込みアタリをガンガンアワせていくのではなく、エサをタナに送り込んでしっかりウキをナジませ、ジワジワとバラけさせながらゆっくりウキを戻す間に食わせるアプローチを基本とする。このためエサ持ちが良いことが絶対条件であり、エサの膨らみが速過ぎたり、途中でエサの芯が崩れてハリから抜けてしまっては釣りにならない。その点で『カルネバ』のネバリは最強の麩材であり、しかも比重が軽いので落下途中のエサの動きもナチュラルに見え、警戒心の強い巨べらにもエサの存在をアピールできるからね。
またこの軽さは僕のようにノーマルなタックルセッティングを使うアングラーにとって極めて有効に働くんだ。たとえばウキだが、普段使っているものでも若干サイズアップするだけで問題なく扱えるものの、たとえエサ持ちが良くても重いエサでは、使えるウキに制限が生じてしまう。つまりエサの重さを支えるためには市販品にはないような極端に浮力の大きなウキが必要になってしまうからね。
さらに『カルネバ』には含まれている集魚剤が少ないことも巨べら釣りには優位に働く。知っての通り集魚剤はへら鮒だけでなく他の魚も寄せてしまう。ジャミや大型のコイやマブナといった外道を寄せてしまうと、エサの周りにへら鮒が近づけなくなってしまうから、集魚剤が含まれていない分をエサの大きさやエサ打ちの回転数でカバーしながら、じっくり時間をかけて寄せることが巨べら釣りには必要なことなんだ。」

ひと通り『カルネバ』の有効性を聞き出したところで実釣の解説に移るとしよう。戸張が向かったのは、ボート桟橋を離れて下流に向かい、かたくら橋をくぐった先にある通称、親水公園下と呼ばれるエリアで、戸張は大きなワンド入口の突端にボートを留め、降りしきる雨のなか、対岸にほぼ直角に向かってエサを打ち始めた。

使用タックル

●サオ
シマノ 朱紋峰「煉」16尺

●ミチイト
オーナーばり「ザイトへら道糸」フラッシュブルー1.5号

●ハリス
オーナーばり「ザイトへらハリス」 上=1号50cm、下=1号70cm

●ハリ
上下=オーナーばり「セッサ」10号

●ウキ
忠相「NEXT STAGE(ネクストステージ)」SIZE-11
【エサ落ち目盛りは全11目盛り中7目盛り出し】

●ウキゴム
忠相 FootFit(M)

●ウキ止め
木綿糸(下側ダブル)

●オモリ
ウレタンチューブ装着0.3mm板オモリ1点巻き

●ジョイント
オーナーばり ダブルクレンヨリモドシ

タックルセッティングのポイント

■竿
ターゲットが巨べらであることはもちろんだが、大型の野ゴイなどの外道も多い釣り場なので、強靭なサオは必要不可欠だが、巨べら狙いの釣りとしては明らかに細めともいえるラインバランスを考慮し、大型べら主体の管理釣り場でも使えるものを選択。16尺を基準として空いていれば14尺、混雑する際は18尺以上とすることも。ちなみに取材フィールドとなった笹川湖では14尺前後(タナは1.5~3.0m)で50cmオーバーの実績が多い。

■ミチイト
あわよくば50上を狙おうというハードな釣りにも関わらず、戸張のラインは明らかに細めである。その理由について戸張は、強度に関するハンディキャップはアワセをソフトにすることで過剰にへら鮒を刺激しないこと、さらには経験で培ったロッドワークで強い引きをいなすことでカバーできると言い切る。

■ハリス
ミチイトに合わせ、ハリスも細めのセッティングとなっている。ただし長さに関しては長めを基本としており、落下中のエサの動きの不自然さを軽減すると共に、ラインにかかるショックをやわらげる仕組みとなっている。また段差を20cmと大きくすることでエサへのアピール力を高めつつ、巨べらが居るレンジを幅広く探れるというメリットもある。

■ハリ
ハリも巨べら狙いにしては小さめだが、『カルネバ』を加えたエサを使うことでエサ持ちに関する不安は払拭されるという。さらに小さめのハリ(軽いハリ)は『カルネバ』の軽さのメリットを最大限活かしきることができるので、まさに一石二鳥の選択である。

■ウキ
巨べら師の多くは、この釣り方に特化した特殊なウキを使っている。しかし戸張が使うのは市販モデルの忠相『NEXT STAGE(ネクストステージ)』。十分な浮力を持ったボディと太めのパイプトップの組み合わせにより、ナジミ際のサワリを最大限に表現しつつしっかりエサを抱え、戻す際もゆっくりとトップが上がって来るので、巨べら特有の遅い食いアタリを狙うのには最適なスペックといえよう。このように誰もが手にすることができるアイテムで数多くの巨べらを仕留めてきたところが、野釣りファンに絶大なる人気を誇る戸張の戸張たる所以であろう。

巨べら攻略ポイントⅠ 豊富な情報と五感+第六感(経験)を駆使し、巨べらを探り当てる

釣り場のどこを攻めれば巨べらに出会えるか。いわば場所選びは巨べら釣りには欠かすことができない最重要課題である。この日戸張が入釣した場所は、前週50cmオーバーの巨べらが釣れた場所に近く、過去にも多くの実績を残している名ポイントだ。しかし結果を先に述べてしまうと、この日この場所で巨べらに出会うことはできなかった。

「1週間前の釣果はあくまで参考データに過ぎず、できれば前日に釣れたとか、たとえ釣れなくてもモジリが多くウキの動きが活発だったといった情報があることが重要だね。今回も巨べらを専門に狙う釣友や舟宿などから情報収集はしていたが、直前の釣況はパッとしない様子で、今日も早朝からモジリは少ないし、何となく悪い予感はしていたんだが…」

そう言って肩を落とした戸張だったが、取材でなければ開始1時間でこの場所には見切りをつけて移動したであろうと振り返る。それくらい巨べらの気配は感じられなかったと言うが、この場所移動を億劫がっていたり、また躊躇していたのでは巨べらに出会える確率は上がらないと戸張は断言する。もちろん闇雲に動けば釣れるという訳ではないが、多くの巨べら師が経験してきたなかで、いつ来るかも知れない回遊を待つよりも、自ら動いて巨べらの居場所を探り当てた方が良い結果に結びつくことが多いからである。

こうしたことは何も巨べら狙いの釣りに限った話ではない。取材の数日前、戸張が所属する関東へら鮒釣研究会の例会(西湖/精進湖)において、はじめに入った場所が不調なことを察知した戸張は数時間でそのポイントに見切りをつけ、当日の魚の動きを読んで次に選んだ場所で見事にリカバリーを果たし、移動したにも関わらず見事優勝しているのだ。確かに情報収集は必要だが、そればかりに頼っていては良い釣りはできないという好事例であり、やはり最後はへら鮒の居場所を嗅ぎ分ける嗅覚というか、数多く積み重ねてきた経験がものを言うのだろう。

「正直言って、これだけモジリが少ない笹川湖は初めてだね。釣れるときは大抵ボートの周囲に多くのモジリが見られる。もちろんアタリも多いし、へら鮒が近くに寄ればジャミのアタリも自然と無くなるので、ウキの動きからも釣れそうな感じがしてくるものなんだ。ところが今日は極端にモジリが少ないし、アタってハリ掛かりするのはブルーギルばかりだろう。せめてマブナなどの鮒類が掛かってくれば多少期待はできたが、今回はそれもなかったからね。」

この日は周辺で竿を出していた戸張の同行者はおろか、朝一緒に出船した他のへらアングラーも誰一人としてへら鮒の顔を見ることができず、それだけ厳しい状況であったことが推察される。それだけに開始1時間が経過した時点で移動したとしても、巨べらを釣ることができなかった可能性は極めて高かったと言えよう。これはあくまで結果論であるが…

さらに戸張は巨べら狙いでは珍しく、集魚剤入りのエサを積極的に使うアングラーとして知られている。今回も色々なブレンドを試すなかで『ペレ軽』は欠かさず使っていた。アタリの取り方もナジマセ釣りを基本としながらも、自らの経験値を元にしたヤワネバタッチのエサでの「浅ナジミ+ナジミ際の速いアタリ」というアプローチも試すなど、その攻め口のバリエーションはセオリーに縛られない野釣り師らしい柔軟性が感じられた。こうしたコテコテの巨べら師とはひと味違ったアプローチも、戸張信者には大きな魅力となっているのだろう。

巨べら攻略ポイントⅡ『カルネバ』があればこそ可能な、軽く・大きく・ナジんで持つエサ

戸張のマッシュ系ダンゴエサには今シーズンから『カルネバ』が加わった訳だが、これにより従来よりも大きなエサが使えるようになり、集魚力のハンディキャップをエサの量で補うことが可能になっている。先にも述べたが、安易にエサのサイズを大きくしたのでは、エサの重さをウキが支えられずにトップが沈没してしまうことになる。戸張のエサ付けサイズは平均すると直径20mm程度で、揉み込んでエアーを抜いたエサはやや小さく、軽くまとめた程度のエサはひと回り大きくなる。それでもウキのナジミ幅はトップ1~2目盛り残しで一定にコントロールされており、しかも練り込みが不足したマッシュ系ダンゴエサにありがちな、割れ落ちするようなウキの戻しは見られず、毎投必ずジワジワとゆっくり戻し、たとえジャミの攻撃を受けてもエサがハリ抜けすることは無かった。

「練らないエサが持つことは、すべての釣り方にとって良いことで、取り分け巨べら釣りにはかなり大きなアドバンテージになる。なぜならへら鮒は大きくなればなるほど警戒心が強くなり、目の前にエサがあったとしても、すぐには食いついてこないからね。だからこそ必要なのが〝待つ〟ということ。そして、たとえ長時間待っていてもエサが抜け落ちることのないよう、へら鮒がエサを食うまで持つエサであることが肝心なんだ。言葉にすると簡単に聞こえるかもしれないが、やってみるとこれが意外に難しい。普段まとまりの良い麩系エサしか使ったことがなく、エサを練るというテクニックをほとんど使わない人では、作ったままではホクホクポソポソしたタッチのマッシュ系ダンゴエサをタナまで持たせることはできないかもしれない。ましてや巨べらが食いつくまで長時間持たせることは、おそらく不可能だろう。それが『カルネバ』をブレンドすることで比較的容易にできるようになるのだから、使わない手はないだろう。」

しっかりウキをナジませてアタリを待つアプローチが巨べら釣りの基本としながらも、戸張自身は中小べらの数釣りをするときのように、アングラーサイドから仕掛けることで早いアタリを狙うアプローチでも巨べらを釣り上げている。そうした釣り方においても、軽くてネバる『カルネバ』は有効活用の幅が広くなるに違いないと大きな期待を寄せている。

巨べら攻略ポイントⅢ エレベーター方式でタナを変え、ターゲットを探り当てろ!

タナを約二本(2m強)にとして釣りを始めた戸張だが、アタリが極端に少なかった今回の取材では30分と同じタナで打ち続けることはなく、ときには4~5投毎にタナを変動させて、なんとか巨べらに口を使わせようと試みていた。

「巨べらは容易にタナを変えないので、ウキの動きから近くに居るなと感じても、なかなかアタリを出さないことが多いんだ。そんなときにはタナを変えて、直接へら鮒の口近くにエサをぶら下げてやるのが効果的なんだ。僕の場合はサワリがあっても食いついてこないときに、タナをウキ1本分程度深くすることが多いのだが、そうした基準がなくても、一時的にタナを変えることでアタリが出ることもあるので、なんとなく反応が悪くなってきたなと感じたときには、浅くでも深くでも構わないから、とりあえず変化させてみることだね。一見シンプルなテクニックだが意外に効果は大きく、こうした経験を積むことで、より確実性の高い変え方が分かるので、アタリが出るのを待つ我慢は必要だが、こうした我慢はしない方が良いネ(笑)。」

実釣では一体何度タナを変えたであろう。アタリはおろかサワリすら極端に少なかったこの日、それこそ数え切れないくらい頻繁にタナを変動させていた戸張。最終的にはタナ一本強の浅ダナから16尺一杯の深ダナまでを探りつくしたが、ついに巨べらとの対面は叶わなかった。

巨べら攻略ポイントⅣ 数少ないヒットチャンスを逃さない〝時合い〟のつかみ方

並みの大型であれば稀に釣れ続くことはあっても、尺半超級の巨べらとなると何時でも釣れる訳ではない。ハッキリ言ってヒットチャンスは少なく、それを見逃してしまうと釣れずに終わってしまうことも少なくないのだ。チャンスは誰にでも公平に訪れるが、それをものにできるか否かというと、やはりそこには何らかの違いがあることは明らかだ。

長いこと巨べら狙いの釣りをやっていると、終日コンスタントに大物ばかりがヒットし続けたという経験を持つアングラーもいるだろう。しかしこうした幸運に巡り合えることは稀なケースであって、多くの場合断続的に、もしくは突然訪れる数少ないチャンスをものにできるがどうかにかかっている。ここで言うチャンスとは、いわゆる〝時合い〟のことであって、アングラーの技術云々では何ともし難い自然節理に負うところが大きいのだが、それをいち早くキャッチし、ヒットさせるための準備を万全に整えておくことが大切であると戸張は言う。

「釣れ始まってしまえば誰でも分かることだが、あらかじめ時合いが来るか否かを判断することは確かに難しいかも知れない。しかし、比較的分かりやすいケースもある。たとえば今日のように雨が降っているときには降り始めや止んだ瞬間、さらには雨足が強くなったり弱くなったりといった強弱の変化があったときなどに時合いは訪れることが多い。また急に暖かくなったり、風のない穏やかなときには、一時的に吹き始めた風によってさざ波立つと、警戒心が薄れた巨べらが突然食い出すことが多いね。残念ながら今回はほとんどへら鮒らしきアタリが少なく釣ることはできなかったが、その原因のひとつに酸欠と湖水の透明度の高さがあったのだろう。今日まで長期間雨が降ることは無かったし、浅場では底から伸びた藻が見えるほど澄んでいて濁りはほとんど見られない。だからこそそうした変化があった際には、ウキに何らかの動きが出るのではと思って集中していたが、やはり今日は釣れる時合いではなかったのかもしれないね。」

今回の釣りを振り返りながらこうつぶやいた戸張の顔には、いささかの後悔の表情は見られず、むしろそこにはやるべきことはすべてやり切ったという満足感と、近々再チャレンジを誓う前向きな姿勢しかなかった。まさにこれこそが巨べら師の真骨頂であり、この気概が失われない限り戸張の巨べらチャレンジはこれから先も続くことだろう。もちろん『カルネバ』と共に…

総括

巨べら狙いの釣りというと、ほぼ間違いなく「太いライン+ごついウキ+大きなエサ玉」という図式が思い浮かぶが、大きな玉網以外まったく普段の野釣りと変わらない戸張のスタイルを目の当たりにすると、なにやら巨べら釣りが身近に感じてしまうのは記者だけであろうか。特にタックルに関しては盛期の管理釣り場で普段使われているようなものであり、エサについても『カルネバ』をブレンドすることで特段練り込まずともしっかりナジみ、ゆっくり戻すといった巨べら釣りでは理想的といえるバラケ方になっているのが印象的であった。

「相手が巨べらだからといって身構えなくてもいいんじゃないかな。確かに乗っ込み期に抱卵した巨べらを狙った浅場の釣りなど、太めの仕掛けでなければ釣ることができない釣りもあるが、ある意味それは特別な釣り方であって、今回のようなダンゴエサを食う時期であればいつでも狙えるマッシュ系ダンゴエサを使った宙釣りであれば、普段の野釣りの装備で気軽に楽しむことができるんだ。もちろん釣るために気を付けるべきことはたくさんあるが、一番重要なことは巨べらが口を使ってくれること。もし巨べらがエサを追い始めた、釣れているという確かな情報が入ったら、躊躇することなくチャレンジして欲しいね。」

そして最後に戸張はこう言って取材を締め括ってくれた。それはたとえ釣れなくてもあきらめないこと。野釣りでは釣れないことも貴重な財産となるのだから、挑む気持ちさえ持ち続けていれば必ず釣れるに違いないと!

「諦めなければ夢は叶う!」戸張 誠のチャレンジスピリットが生んだ爆釣劇

驚きのニュースが飛び込んできた!取材から半月以上が経過した6月中旬。綿密な情報収集を続けながら再挑戦のチャンスをうかがっていた戸張が、ついにリベンジを果たしたのだ。それも最大47.3cmで尺半オーバー3枚を含む6枚の固め釣りという、まさに夢のような大型乱舞の爆釣劇。

当日のポイントは取材時に入釣した親水公園よりもやや遠い宮ノ下対岸の岩盤地帯で、釣り方は取材時とほぼ同じアプローチ。エサ使いはもちろんマッシュ系ダンゴエサ。釣るためのタックル・エサは既に手の内に入っていたので、今回釣れた最大の要因は、やはり巨べらが口を使う僅かなタイミングを逃さず釣行に踏み切った行動力。すなわちチャレンジスピリットの賜物であろう。

当日使用したエサのブレンドは「マッシュポテト(徳用)」、「マッシュダンゴ」、「グルバラ」、「藻べら」を各200ccに水300ccを入れて3分放置。ボソッけを残した状態で軽く練ったあと、エサがしっかりと持つまで「カルネバ」を追い足して仕上げたもの。当日は風による流れが強かったこともあり、やや硬めのタナで膨らむタッチが良かったそうだ。

エサを選り好みするグルメな巨べらをうならせる絶妙なタッチ、それを容易に可能にしてくれるのが『カルネバ』である。もちろん主役はマッシュなのだが、そのパフォーマンスを最大限に引き出すのは『カルネバ』の軽さであり、ネバリであることは間違いない。たまたま取材時に釣れなかったことで、その信ぴょう性に疑念を抱かれては心外とでも感じたのであろうか、なんとも実直な戸張らしい証明の仕方ではないだろうか。