稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第163回 「石井忠相のチョーチンウドンセット釣り」

かつてのセット釣りはバラケとくわせの距離感、すなわち下ハリスの長さ調整にウェイトを置くことでよく釣れたものだが、近年は単に下ハリスの長さを合わせただけでは上手く釣れず、狙ったタナに寄せつつも、さらにへら鮒の口をくわせエサに惹きつける術がなければヒットに繋がらないと、マルキユーインストラクター石井忠相は力説する。そこで今回は難しくなった現代セット釣りの一助となるべく開発された新エサ「瀑麩」のポテンシャルと有効な使い方を紹介しようと、石井にとっては初の釣り場となる茨城県潮来市にある管理釣り場「北浦 渚」で実釣取材を敢行。同釣り場の情報をほとんど持たないまっさら状態の石井が新エサ「瀑麩」をどのように使いこなし、そのポテンシャルをいかに引きだしたのか、石井流チョーチンウドンセット釣りの真髄と共にお届けする。

唯一無二の抜け感が、直下で待つくわせエサへとへら鮒を導き逃さない!
現代セット釣りにおけるタブーとは、ズバリ〝バラケ過ぎ〟である。知ってのとおりセット釣りは上バリに付けたバラケでおびき寄せ、近づいたへら鮒に下バリのくわせエサを食わせるというシステムで成り立っている。普通に考えれば寄せるへら鮒の数が多いほどたくさん釣れそうなものだが、大型化が進み口数が減った近年の管理釣り場においてそのセオリーは通用せず、実態としては過剰も不足も許されない、極めて幅の狭い〝適量〟を保った状態を常にコントロールすることが求められている。さらにたとえ適量寄せたとしても、大型化し警戒心が増したへら鮒をくわせエサへと導く術を持たなければ、食いアタリをだすことは不可能だと石井は断言する。
「バラケを打ち込めばへら鮒は寄って来ますが、それが少ないと警戒心から容易にくわせエサを口にしなかったり、その一方で過剰に寄せ過ぎると無用なウワズリを招いたり、密集するへら鮒間のスペースが狭過ぎて明確なアタリがでにくくなってしまいます。これが現代セット釣りにおける問題(難題)であり、我々アングラーを悩ませている大きな要因なのです。そしてさらに難しいのが寄せたへら鮒の口をくわせエサへと向けさせるテクニック。セット釣りの名手といわれるアングラーはこの誘導テクニックに長けていますが、多くのアングラーにとってはかなり高いハードルといわざるをえません。そこで『瀑麩』の登場なのですが、この新エサの特長であるエサ付けしやすいボソ感と他に類を見ない自然な抜け感が、普段どおりのエサ付けをしていても確実にへら鮒を直下にあるくわせエサへと惹きつけアタリへと導くのです。」
両ダンゴの釣りからセットの釣りに切り替わる、まさにへら鮒釣りの端境期に実釣は行われたわけだが、先入観を何も持たずにこの時季の標準的なタックルセッティングを整えると、毎投トップ先端まで深くナジませながらゆっくりとしたリズムでエサ打ちを繰り返す。エサ付けはハリのチモトを丁寧に押さえた水滴型で、バラケの下部は押さえることなく開いたままだ。ファーストヒットは開始から20分が経過した頃。深ナジミしたトップがバラケの抜けと同時に返した直後、フワリと大きく煽られたトップがズバッと水中深くに突き刺さった。この1枚を皮切りに序盤は時間当たり7~8枚、さらに1ボウルめが使いきる頃には早くも10~12枚ペースでカウントを重ねる石井。型も徐々に良くなりご機嫌だ。

「特別なことは何もしていないのに順調に釣れ続きますね(笑)。釣り場のコンディションが良いこともあるでしょうが、やはり『瀑麩』のエサ付けの簡単さとタナに届いてからの働きが優れているのだと思います。最も好感触なのは持たせ加減のコントロールのしやすさでしょう。まだ手探りの状態なので完全にバラケを持たせたままアタらせたり、逆に早めに抜いてアタリを待つなど、もちろん半抜き・半持たせ等々その中間も色々試してみましたが、指先ひとつの圧加減でそれがとても簡単にできる点が秀逸ですね。」
新エサのポテンシャルに満足げな表情を浮かべながら、初めて味わう北浦 渚のへら鮒の強い引きを存分に味わう石井。ところが突如荒れ始めた天候がそれを許さず、北浦本湖で生じたウネリと流れが仕切り網を通って入り始めるとアタリが半減。さらに降り始めた大粒の雨に一時退避を余儀なくされるなど、予期せぬ中断に慌てるスタッフ。しかしそんなアクシデントにもめげずに再開後も持てるテクニックを駆使して粘釣する石井。初の釣り場に加えて天候の急変と、悪条件のなかでもしっかりと「瀑麩」のポテンシャルを引きだしてみせた。
取材時使用タックル
●サオ
かちどき「匠絆忠相」8尺
●ミチイト
オーナーばり「ザイト 白の道糸」0.8号
●ハリス
オーナーばり「ザイト SABAKIへらハリス」上=0.6号-8cm、下=0.4号-40cm→32cm→28cm
●ハリ
上=オーナーばり「バラサ」8号
下=オーナーばり「リグル」4号→5号
●ウキ
忠相「ネクストビート」サイズO【極細グラスムクトップ20.0cm/二枚合せ羽根ボディ7.0cm/極細カーボン足8.25cm/オモリ負荷量≒1.1g/エサ落ち目盛りは空バリで13目盛り中7目盛りだし】

取材時使用エサ

■取材時のベストバラケブレンドパターン
「粒戦」100cc+「瀑麩」100cc+水150cc(必要な吸水時間は気温・水温によって異なる)+「ヤグラ」100cc+「BBフラッシュ」100cc

重い「粒戦」がエサボウルの下部に沈んでいるため、五指を熊手状に開いて掘り起こすように大きくかき混ぜながら、水分を全体に均等にゆきわたらせるのがポイント。当日のへら鮒の状態にマッチしたこのバラケはわずかな手水調整のみで、仕上がった状態の手つかずのままで使いきったことからも、このブレンドパターンの完成度の高さがうかがえる。


■くわせエサ

「魚信」2分包+水130cc
小鍋で炊いて全体が固まってから1分ほどしっかり練り込むようにかき混ぜ、専用の絞り器に詰めて直径6mm程の太さで冷水に絞りだし、10分程度冷却。水から引き上げたら10cmほどにカットし、安定材「わらび職人」を適宜まぶして密封容器に入れて釣り場に持参。現場で適当なサイズにカットして使用する。