稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第154回 「内島康之の超激渋時合を制する段差の底釣り」|へら鮒天国

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稲村順一が徹底レポート「釣技最前線」第154回 「内島康之の超激渋時合を制する段差の底釣り」

かつての大量放流は夢のまた夢。へら鮒の大型化もさらに進み、口数は減る一方の現代へら鮒管理釣り場。厳寒期の釣果はさらに厳しく、いかに魚影の濃い管理釣り場といえども常に〝ODK(オデコ)〟の三文字が大きなプレッシャーとなってアングラーに襲いかかる。そんな厳しい冬のへら鮒釣りにおいて救いの一手となるはずの段差の底釣り(以下、段底)も、決して楽観視できなくなっている。そこで今回は厳しい状況下でも確実に食い渋ったへら鮒を仕留める術を、マルキユーインストラクター内島康之に披露してもらうべく武蔵の池に参集。ここはいわずと知れた〝段底の聖地〟。しかもその難易度は超ド級のハイレベルとあって、いつもは温和な表情を絶やさない内島も、この日ばかりはどことなくナーバスな雰囲気を漂わせての取材スタートとなった。果たして彼を待ち受けるのは爆釣か?はたまた恐怖の三文字か?

地底(2D)だけでは足りない?宙(3D)のへら鮒を加えた欲張り集魚に勝機あり!?

ここ数年〝冬の顔〟として厳寒期の厳しい取材ばかりお願いしている内島インストラクター。今回もまた飛び切り厳しいお題にオファーをさせて頂くことになったわけだが……

「そろそろ来る頃だと思っていました(苦笑)。それにしてもよりによって武蔵の池の段底なんて素敵なステージを用意して頂きましたが、そもそも段底は厳寒期の食い渋り時の究極の拾い釣りと考えていますので、どのくらい厳しい釣況なのかわかりませんが、とりあえずへら鮒の顔を見ることを目標にまずは1枚。それが果たせたらまた1枚と、欲張らずに臨むつもりです。」

有言実行を旨とするこの男に、これほどまでに謙虚な言葉を吐かせる難攻不落といわれた武蔵の池。取材当日も平日にも関わらず多くのアングラーが訪れており、その大半はあたかも厳寒期の厳しさを味わうように、この池では〝鉄板〟と称される段底で繊細な釣りを楽しんでいた。内島は一般アングラーの邪魔にならぬよう中央桟橋を奥へと進み、季節風を背にできる釣座65番で支度を開始。準備が整うまでの間、記者は段底の基本的アプローチについて訊ねてみた。

「何をおいても地底にへら鮒を寄せることが大事です。段底は元来集魚力に優れた釣り方ですが、扱いを間違うとかえってウワズリを招いたり、広範囲に散ったバラケの粒子で遠巻き状態になってしまったりするので、ウキを深ナジミさせることを徹底し、段底のメリットだけを生かして焦らずじっくり攻めることが肝心です。一方でへら鮒のコンデションが良いときにはイケイケの攻めの釣りも可能なのですが、今日はそれを魅せられないのが残念です(笑)。」

厳しい釣りになることは織り込み済みとはいえ、いざ実釣が始まるとその厳しさに見ている記者の方が心折れそうになるが、実際に竿を握る内島はやるべきことを淡々とこなしつつ一歩一歩へら鮒に近づいて行く。そうした彼の姿勢と努力は徐々にウキの動きとなって現れた。ほとんどへら鮒の動きが感じられないなか、自らが繰りだす策の結果をもとに取捨選択を行っていると、突然訪れるチャンスにも慌てることなくアタリにつながる好手を繰りだし、確実にヒットに結びつける〝究極の拾い釣り〟を披露してくれた。

「あらかじめ地底に居着いているへら鮒だけをターゲットにしていたのでは、恐らくまともに釣ることはできないでしょう。この時期は底から離れた宙層のへら鮒を釣るのも困難ですが、私はそのへら鮒を上手くバラケを使うことで宙から底へと誘導し、地底に安定させたくわせエサを口にさせることは可能だと考えています。こうしたことができるのが段底の強みであり、バランスの底釣りよりもアタリを増やすことができる要因のひとつではないでしょうか?」

地底周辺のへら鮒の動きを底という平面(2D)ではなく宙層を含めて立体的(3D)に捉え、バランスの底釣りよりも集魚性に優れたバラケを駆使して1枚でも多くのへら鮒を地底に寄せ、そして確実にヒットにつなげる内島流段底。厳寒期の痺れるウキの動きをとくとご覧あれ!

取材時使用タックル

●サオ
シマノ「普天元 獅子吼」12尺

●ミチイト
オーナー「ザイトへら道糸フラッシュブルー」0.8号

●ハリス
オーナー「ザイトSABAKIへらハリス」 上=0.5号-13cm、下=0.35号-60cm

●ハリ
上=オーナー「バラサ」7号、
下=オーナー「サスケ」4号(のちに同3号、さらには「リグル」4号も使用)

●ウキ
旭舟「技」パイプトップ6番
【1.4mm径テーパーパイプトップ15.0cm/一本取り羽根ボディ14.0cm/1.0mm径カーボン足5.0cm/オモリ負荷量≒2.10g/エサ落ち目盛りは全11目盛り中7目盛りだし】

取材時使用エサ

バラケエサ【当日の決まりブレンドパターン】

「粒戦」100cc+「粒戦細粒」50cc+水200cc(吸水のため約10分放置後)+「段底」150cc+「セット専用バラケ」150cc+「バラケマッハ」100cc

五指を熊手状に開いて大きくかき混ぜ、ダマが残らないよう丁寧にほぐしておく。使うときには別ボウルに適宜取り分け、調整は手水と撹拌で行う。

くわせエサ

「魚信」1分包+水65cc

耐熱カップに「魚信」と水を入れてよくかき混ぜてから700Wに設定した電子レンジで30秒加熱。一旦取りだしてよくかき混ぜたらさらに20秒加熱。ここでも一旦取りだしてよくかき混ぜ最後に20秒加熱処理。カップ内でプックリと膨らんだらポンプに詰め込み冷水に絞りだし、10cmほどにカットしたものを密封容器に入れて「わらび職人」を適宜振り掛けたら完成。釣り場でトレーにだし、指先でカットして使用する。

「感嘆」(「軽さなぎ」入り10cc+「感嘆Ⅱ」5cc+水15cc

「感嘆」は1袋に対して「軽さなぎ」20ccをあらかじめ加えてよく混ぜ合わせておいたものを使用。先にフタ付きの200ccカップに水を入れておき、2種の粉材を入れたらフタをしてシェイク。固まったら40~50回指で練り込んでからポンプに詰めて使用する。

「力玉ハード(S)(M)

さなぎ粉」に漬けるなどの下処理をせずに、瓶ごと持参し適宜トレーに取りだして使用する。